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屋上菜園―東京の新しい農業

[2010年5月号掲載記事]

 

日本の首都である東京は人が多く、現在、約1,300万人が住んでいます。また、東京の都心は背の高いビルばかりです。しかし、そんな混みあった環境の中、ビルの屋上での農業が増えています。

銀座は、高級な品物を売るお店や一流のレストランなどが並ぶ、有名な街です。2006年、銀座にある会社の幹部で、地域の発展に尽くしている田中淳夫さんは、銀座のビルの屋上でミツバチを飼い始めました。「都会でもミツバチが飼えると聞き、銀座でハチミツが採れたら面白いと思って始めました。ハチたちは1キロ以上離れた公園や、道沿いの木などから、花のミツを集めてきます」と田中さんは話します。

田中さんは採れたハチミツを、銀座のために役立てたいと考えました。そこで「銀座ミツバチプロジェクト」という団体をつくりました。「銀座にはすばらしい料理人やバーテンダーたちがたくさんいます。その人たちにこのハチミツで、料理やお菓子を作ってもらいます。するとそれが話題になって、多くの人が買いに来てくれます。そうすれば銀座がもっと豊かになります」と田中さん。

田中さんのアイディアは大成功しました。銀座という都心の町でミツバチを飼っている、という話はすぐに広まり、テレビや新聞が取材にやって来ました。また、料理人たちも田中さんのミツバチを見に来て、ハチが一生懸命働いている様子や、花によってミツの味が違うことに感動しました。それでハチミツを活かしたおいしい料理を作りました。そのおいしさは評判になり多くの人が買いにきて、ミツが足りなくなるほどでした。

田中さんの活動は、銀座のほかのビルにも広がりました。百年以上の歴史をもつデパート松屋は、2007年、屋上に菜園をつくりました。ミツバチがミツを集めに来ることができるように、野菜や花を育て始めたのです。そして屋上で採れた野菜を使って夏野菜カレーを作り、ごちそうするイベントを開くようになりました。招かれるのは環境問題に取り組んでいる人たちです。

「夏は一日に何度も水をやりに行かなければなりませんでした。また、鳥に食べられてしまったこともありました」と、松屋広報課の大木幸生さんは苦労を語ります。「でもお客様には、野菜が育つのを見るのが楽しみだと喜んでいただけました。それにミツバチが来るのを見て、自然と共に生きているのだ、と感じられましたし、以前より環境問題を考えるようになりました」。

日本酒メーカーの白鶴酒造株式会社も、2007年から銀座の本社ビル屋上で菜園づくりを始めました。米を育て、それを使ってお酒をつくる取り組みをしています。「私たち社員は農業をしたことがありません。ですから問題が起きるたびに考えたり調べたりして、一つひとつ解決しなくてはなりませんでした。天気が悪いと米が病気になりました。また、農薬を使っていないので虫がたくさんつきました。銀座のこんな高いビルの上まで虫が来るんだ、と驚きましたね。米が実ったときには感動しました」と、東京支社次長の小田朝水さんは話します。

「米づくりによって仲間が増えました」と小田さんは言います。「刈り入れのときには社員の家族も来ます。また、お酒をつくるときは、参加したいという人を会社の外からもお招きしています」。

「ミツバチプロジェクトによって、人の輪が広がっています」と田中さんは言います。「ミツバチの世話をしていると、隣のビルで野菜の手入れをしている人が見えます。お互いに手を振ったりして、前より親しくなりました。地域のつながりが強くなったんです。それだけでなく、みんなで農業や環境の問題を考えるようにもなりました」。

NPO法人大江戸野菜研究会は、屋上緑化(屋上に植物を植えること)を広げようとしています。屋上での農業のために開発された、軽くて栄養のある土を使い、東京じゅうに菜園をつくる、という目標を立てています。そのために、菜園をつくりたいと思っている人の相談に乗ったり、ワークショップを開いて農業の技術を教えたりしています。

大江戸野菜研究会の成功例の一つが、北千住駅(東京都足立区)の駅ビルです。このビルは、土を10センチほどしか敷けませんでした。しかし研究会は、植え方をくふうしたり、土を注意深く管理したりして、カブやキャベツなど、いろいろな野菜を作りました。2009年にはスイカに挑戦し、10個以上のスイカをつくることに成功しました。

また研究会は、ほかの団体にも協力しています。2009年からは、秋葉原のNPO法人リコリタという団体の手助けをして、「アキバ米」という取り組みを行っています。これは「『メイドさん』に、秋葉原でバケツを使って米を育ててもらう」という企画です。2年目になる今年は、米だけでなく、イチゴやハーブも育てています。

「リコリタさんは、利己(自分の利益)を利他(他人の利益)につなげていこう、という団体なんです。だから、『メイドさん』といっしょに何かをしたい、という気持ちを、農業や食糧の問題に結びつけたのだそうです。研究会としては、アキバ米を通じて若者たちが農業に親しんでくれたら、と思います」と研究会の椋あゆみさんは言います。

「都会に住んでいる人も、農業をすることによって、いい野菜と悪い野菜が見分けられるようになります。すると、いい野菜を作る農家を評価するようになるでしょう」と、研究会事務局長の高汐健司さんは言います。「今、多くの人が農薬などのために、食べ物に不安をもっています。だからこそ都会の人にも農業を知ってもらい、農業について考えてほしいですね」。

銀座ミツバチプロジェクト
松屋
白鶴酒造株式会社
大江戸野菜研究会事務局

文:砂崎 良


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