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日本の気候や風土が育てた、お風呂文化

[2012年12月号掲載記事]

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日本には昔から、お風呂を題材とする作品が数多くあります。それは、日本人とお風呂との関係が非常に深いことを物語っています。江戸時代の人々の暮らしをいきいきと表した古典文学「浮世風呂」は代表例です。古代ローマの浴室設計技師が現代の日本にタイムスリップして巻き起こす騒動を描いたまんが「テルマエ・ロマエ」は映画にもなりました。

古くからある日本の言葉の「ふろしき」や「ゆかた」などは、どちらもお風呂に関連する品物から生まれました。ふろしきは江戸時代、着替えのときにしいたり、脱いだ衣類を包んだりするために使った布のことです。ゆかたはもともと、お風呂に入るときに着ていた着物です。現在のようにはだかで入浴するようになると、入浴後の外出着となりました。

日本人は世界の中でも特にお風呂好きです。その理由は、日本が島国であることに関係があります。日本の気候の特徴は、周りを海に囲まれているために雨が多く、気温も湿度も高い高温多湿であることです。そのような環境で暮らしていると、少しでもさっぱりしたいという気持ちが高まるので、水や湯を浴びる文化が育ったといわれています。

一方、日本には有名な温泉地がたくさんあります。各地にある火山の地熱で温められた水が温泉となってわき出ているからです。温泉は全国的に広がっており、その成分や効き目によって、温泉地ごとの特徴があります。こうして、温泉を目当てにした旅行者を迎えるため、各地に温泉地が発達し、旅行者を泊めるための宿や旅館も生まれました。

自然とのつながりが強いのも日本の温泉地の特徴です。例えば、スキー客の疲れをいやす山の温泉、広大な海原を眺めながら入る海の温泉、新緑や紅葉など季節ごとの木々の変化が楽しめる峡谷の温泉などがあります。また、名所旧跡の近くに発達した温泉は観光客を集めるための場所としても役立っています。

現代では、お風呂に入るといえば、湯船につかることを意味します。しかし、もともとは蒸気を浴びる蒸し風呂のことを指していました。ですから、昔は蒸気で体の汚れをこすり出し、その後に湯で洗い流していました。蒸気を逃がさないように造られた狭い部屋を室といいました。それが「風呂」の語源とされています。

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江戸時代の中頃になり、自宅にお風呂のない人たちが利用する銭湯が増えました。銭湯は単に体を洗う場所ではなく、社交や娯楽の場としても使われるようになりました。銭湯は男が入る「男湯」と女が入る「女湯」に分けられます。場所によって違いますが、幼稚園児くらいまでは父親と女の子、母親と男の子が一緒に入ることも珍しくありません。

銭湯といえば、富士山の絵を思い浮かべる人が多いほど、浴場内の壁画には富士山が描かれています。これは、富士山の裾野が末広がりで縁起が良いこと、雄大であること、毎日見ていても見飽きることが少ないからだといわれています。しかし、最も大きな理由は、誰にとっても親しみのある風景だからでしょう。

温泉好き、お風呂好き、銭湯好きという日本人の特徴は今日「スーパー銭湯」を生み出すまでに進化しました。スーパー銭湯は「銭湯を超えた」という意味の複合型の施設です。一般の銭湯よりも料金は割高ですが、入浴ばかりでなく、岩盤浴やゲーム、映画、カラオケ、食事なども楽しめる総合レジャー施設として全国各地に造られています。

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風の湯

 

最近は中部国際空港(愛知県)の展望風呂「風の湯」のように、業種の違う施設の中で営業するケースも増えています。多くの旅行客がここで旅の疲れをいやしています。風の湯は旅客ターミナルビルの4階にあるため、飛行機や夕日を眺めながら入浴を楽しめます。屋外デッキに出れば、飛行機の音や海風などを直接感じることができます。

温泉地や銭湯など、外で楽しむお風呂ばかりでなく、家庭の内風呂を楽しむためのグッズも登場しています。例えば、湯船に浮かべて使うアロマキャンドル、防水型のラジオ、お風呂用枕など、さまざまなアイテムがあります。いずれも体を洗うためではなく、お風呂で過ごす時間を楽しんだり、豊かにしたりするのが目的です。

お湯そのものを楽しむために、全国の特徴ある温泉の成分を再現して粉末や液状にした入浴剤もよく使用されます。これらを家庭の風呂に入れれば、本物の温泉と同じような気分を手軽に味わえるので、多くの種類が出回っています。わざわざ本当の温泉地に行かなくても、毎日全国の温泉気分を楽しむことができるのは便利です。

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入浴剤/うたせ湯 写真提供:リンナイ株式会社

 

また、温泉や銭湯にある「うたせ湯」のしくみを取り入れた浴室暖房乾燥機(浴室を暖めたり乾燥させたりする製品)もあります。うたせ湯は上から落ちてくるお湯を下にいる人の体に当てるもので、マッサージの効果があります。この機械を天井に取り付ければ、自宅のお風呂で本物のうたせ湯の気分や効き目などを味わうことができます。

体を洗うとき、シャワーで簡単にすませる国が多いですが、たっぷりの湯に肩までつかるのは日本ならではの方法です。湯船につかる日本式のお風呂はリフレッシュにも効果的です。冬はじっくりと温まるのに便利な日本のお風呂は、独特の気候と風土によって育まれた、りっぱな日本文化の一つです。

中部国際空港

文:伊藤公一


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