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現代の招き猫

[2012年11月号掲載記事]

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たま駅長

 

日本のお店には、よく猫の置物が飾られています。猫が座って片手または両手を耳の横まであげている姿をした置物です。これは「招き猫」と呼ばれる縁起物(幸運を引き寄せる置物)です。招き猫の手つきは、日本人が人を呼ぶときにするジェスチャーとよく似ています。そのため招き猫は、お客や幸運を呼ぶといわれているのです。

日本の農村では、米を食い荒らすネズミをとらせるために猫を飼う習慣がありました。さらに日本人は動物も神になれると考えたため、猫を神社やお寺でまつったりしました。このような文化が招き猫の背景と考えられます。現代ではかわいい猫が人気を呼び、地元や企業にとっての招き猫となる現象が見られます。

和歌山県には、ローカル線や地元にとっての招き猫となった猫がいます。日本では猫に「たま」と名づけることが多いのですが、この和歌山電鐵株式会社の猫も「たま」といいます。貴志川線貴志駅の正式な駅長で和歌山電鐵の執行役員でもあり、和歌山県からも「和歌山でナイト」など称号をもらっている「たま卿」なのです。

たま卿はもともと貴志駅の隣にある売店で飼われていた猫でした。貴志川線のオーナーが替わったとき、売店の人が新しい社長に「たまの住むところがなくなるので駅舎内に住まわせてくれませんか」と頼みました。社長がたまと初めて対面して目があった瞬間、たまの駅長姿が目に浮かびました。さらに、「駅長になるので助けて下さい」とたまが言ったように感じました。こうしてたまは無人駅でもあった貴志駅の駅長に任命されました。

「たま駅長」は大人気となりました。マスコミに多く取り上げられましたし、あいに来たお客はたまの人見知りしない様子や、きれいな三色の毛並みに感心しました。ある大学教授は、「たまのおかげで1年に約11億円の経済効果が和歌山県内にもたらされた」と調査発表しました。赤字で廃止の予定だった貴志川線は、助けた猫に助けられたのです。

「たまにあうための観光バスが来ない日はありません」と広報の山木慶子さんは話します。「たまのグッズを玄関に置いておいたら仕事が舞い込んだ、たまにあったら恋が実った、とお礼を言いにわざわざ来てくださる方もいるんですよ」。

たまは高齢なので、「部下」のニタマにも仕事を任せています。ニタマはたまと同じ三毛猫で、同じく人なつこいことから「採用」されました。普段は伊太祈曽駅で駅長をつとめ、たまが貴志駅を休むときには「貴志駅長代行」をしています。

猫をPR用のキャラクターにしたところ、大人気となったケースもあります。株式会社リクルートライフスタイルが運営する旅情報のサイト「じゃらん」は、ブランドイメージを上げるために「にゃらん」という名の猫を採用しました。にゃらんが旅に出るCMは話題となって、DVDが発売されたり、にゃらんがTwitterを始めたりするようになりました。

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にゃらん

 

最近ではにゃらんに「弟子」ができ、一緒に旅しているCMが話題になりました。それをきっかけにTwitterでは、1ヵ月で4万人以上のフォロワーが増え、中国でもとても話題になりました。

「にゃらんのTwitterはフォロワーが今約6万人います。フォロワーの皆さんのコメントや、リツイートの数を見るとにゃらんの人気を実感します」と編集部の宮下真衣子さんは話します。「第一弾のDVDがとても好評だったので第二弾を企画しているんですよ」。

復興に役立っているのが田代島の猫たちです。ここは宮城県石巻市にある広さ3.14平方キロメートルの島で、約70人が住んでいます。日本の地方や離島はたいてい高齢化と過疎の問題に悩んでいて、田代島も例外ではありません。漁やカキの養殖など、漁業を主な産業としていますが、住民の約8割が高齢者で、活性化が必要になっていました。

そのような田代島の人々にとって意外なことに、数年前からカメラを手にした観光客が増えてきました。実は田代島は、猫神社で猫をまつったり売り物にならない魚を猫にやったりと、猫を大事にする習慣がある島です。そのため猫が増えて「人より猫が多い島」とマスコミに取り上げられ、猫好きな人たちが訪れるようになったのです。

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田代島の港

 

島民の中には観光客のマナーの悪さを嫌う人もいました。しかし猫で島を活性化しようという動きも生まれました。猫型の看板を立てるなど、観光客のための取組みを始めました。しかしその矢先の2011年3月11日、島は東日本大震災に襲われたのです。

カキの養殖場は津波に壊されてしまいました。国や自治体の支援は被災地が広すぎてなかなか決まらないので、島の人たちは自分たちで復興の資金集めに取りかかりました。そして「にゃんこ・ザ・プロジェクト」という、出資すると数年後にカキをもらえるプロジェクトを始めました。

「にゃんこ」とは猫を意味する言葉です。島の人たちは、猫たちを心配する声が寄せられたことを考えて、お金は猫の世話にも使うこと、出資すると猫のグッズをもらえることなどをプロジェクトの条件に加えました。するとわずか3ヵ月で目標の1億5千万円が集まりました。あまりにも早くお金が集まったため、急いで募集を締め切らなければならなかったほどです。

「今年の3月、プロジェクトを社団法人にしました。支援金でカキの養殖場をなおして、うまくいけば来年から支援者の方にカキを送ることができます。流されてしまった公衆トイレもつくりなおしています」と、理事長の尾形千賀保さんは言います。広報担当の濱温さんは「田代島では、猫は大漁を招く守り神だと言い伝えられてきました。とても身近で、同居人のような存在なんですよ」と話します。

明治時代の作家、夏目漱石は、飼い猫をモデルに「我輩は猫である」という本を書いて有名になりました。この飼い猫についても近所のおばあさんが「この猫は福を呼びますよ」と言ったと伝えられています。日本人にとって猫は、かわいくて縁起がいい存在です。

和歌山電鐵株式会社
にゃらん
にゃんこ・ザ・プロジェクト

文:砂崎良


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