Language:
Hiragana Times | Facebook Hiragana Times | Twitter RSS

これはHiragana Timesに掲載した過去の記事ですが、実際のマガジンではパラグラフごとに英語と日本語が交互に掲載され、漢字にはふりがながついています。 マガジンサンプル 定期購読案内へ

虫に親しむ日本の文化

[2012年9月号掲載記事]

201209-1-1

日本人にとって虫は身近で、季節を感じさせてくれる生き物です。例えば夏、テレビ番組はセミの姿や鳴き声を放送してその日の暑さを表現します。旅行会社はホタルを見に行ったり写真を撮ったりするツアーを企画します。秋になると多くの人が虫の声に耳を傾け、美しいとほめたり、寒い冬が近づいていることを知りさびしがったりします。

虫はキャラクターとしても人気です。子ども向けの文房具に虫の写真がプリントされていたり、かわいらしくデザインされた虫が子どものテレビ番組で歌っていたりします。子ども向けのものだけではありません。トンボやチョウは着物やふろしきの定番の模様ですし、家紋(家のマーク)にも虫をデザインしたものがあります。

虫はなぜこれほど日本人に身近なのでしょうか。それは子どものとき虫とふれあう機会が多いからです。虫をつかまえたり飼ったりすることは子どもの一般的な遊びだと考えられています。大人、特に女性には虫が苦手な人が多いため、虫をあつかうイベント会場では、子どもは喜んでいるのにお母さんは怖がっているという光景が見られます。

行楽地に、虫と関係ある施設がつくられていることもあります。それらの施設はたいてい虫の標本をたくさん展示したり外国産の貴重な虫を見せたり、虫を売っていたり虫と遊べたりします。虫好きな人が経営していることもありますし、遊園地が子ども連れのお客を集めるためにそういう施設を設けていることもあります。

自治体が虫の施設をつくることもあります。日本の地方では過疎化(人口が減ってしまうこと)が問題になっているので、町おこし(町を活性化させる運動)をしているのです。いくつかの自治体が豊かな自然をいかし、スズムシやホタル、オオムラサキというチョウなど、見た目や鳴き声のよさで人気のある虫を利用して、町おこしを行っています。

201209-1-2

カブトムシ自然王国こどもの国ムシムシランド

 

福島県田村市にある「カブトムシ自然王国こどもの国ムシムシランド」も町おこしの一例です。この地域では農業が盛んで、農業のためのやわらかい土にカブトムシの幼虫が育ち、じゃまになっていました。ところがその幼虫を東京で見せたところ、欲しがる人がたくさんいたのです。そこでカブトムシで町おこしをしようと考え、ムシムシランドを作りました。泊まったり大きな遊具で遊んだりできるだけでなく、自然の中で多くのカブトムシとふれあえるのが売りです。「毎年3月下旬にカブトムシの幼虫を町内の農家から10万匹買います」と株式会社田村市常葉振興公社、総括部長の吉田吉徳さんは話します。「そして手作業で1匹ずつ調べて病気の虫や小さい虫を取り除きます。そして大人になった虫を集めて園内に放したり売ったりします」。

「多い日は一晩で1,000匹以上が成虫になりますし、成虫は2週間前後しか生きられませんから長生きできるよう世話するのが大変です」と吉田さん。「虫好きの子は何時間も観察しているのでお母さんには不評ですよ」と笑います。

「カブトムシの飼育を通して子どもたちは、どんなに一生懸命世話をしても成虫になれない虫がいることを学びます。そして育てた虫の死を体験して寿命というものを知ります」と吉田さんは言います。「豊かな自然があるおかげでカブトムシが生きられること、そのような環境を壊してはいけないことも教えています。小学校から頼まれて教えに行くこともあるんですよ」。

虫を飼う目的は見て楽しむだけではありません。カブトムシ相撲という競技もあります。えさやメスをめぐって闘うカブトムシの習性を利用し、自分のカブトムシを他の人のカブトムシと闘わせて強さを競うのです。夏になると日本各地で行われます。クワガタ相撲、種類が違う虫同士を闘わせる相撲もあり、愛好家は強い虫を育てようと手をつくします。

厳密には虫ではありませんがクモを闘わせる大会もあります。鹿児島県の加治木町には400年以上の伝統があるといわれる「くも合戦」という行事が残っていて、国の無形民俗文化財に指定されています。子どもから大人まで町ぐるみで参加し、焼酎を飲ませて鍛えたりした自慢のクモを闘わせます。

このように日本では、虫の飼育はありふれた趣味です。カブトムシやクワガタ、スズムシといった人気の虫はスーパーでも買えるほどです。虫を飼うための用品も充実しています。えさのゼリーは人間向けのお菓子に見えるほどカラフルで、メロンやグレープなどさまざまな味があります。虫の健康を保つために、消毒した木の枝やダニ取りブラシも売られています。

201209-1-3

Dorcus Dake

 

「日本人にとって虫を育てることは、花を育てることと同じ感覚なのだと思います」とクワガタ・カブトムシ専門店ドルクスダンケの代表、坪内俊治さんは言います。「小さな種から芽が出てつぼみができ、花が咲くように、虫も小さな卵から幼虫になりサナギに変わり成虫になります。その過程を楽しむことができます」。

虫の飼育は子どもの遊びだと思われていましたが、20年ほど前から大人が飼うことも増えてきました。その結果、外国産のめずらしい虫が数万円という高値で取引されたり、高価で高品質なえさが開発されたりするようになりました。より大きい虫や、形や色がより美しい虫をめざして、産地や血統にこだわり大事にブリードしている人たちもいます。

「プロだけでなく一般の人もブリードするようになったため、飼育方法が確立され、それに伴って用品の開発や改良も進みました。誰かによって一つの目標が達成されると、他の人がさらに次の目標を達成しようとがんばり、日本のブリード技術はとても高くなりました。原産地でとても少なくなってしまった虫が、日本でたくさん大切にブリードされていたりもするので、貴重な虫を保護することにも役立っています」と坪内さん。

約千年前の文学「源氏物語」にも、虫を飼って鳴き声を楽しむ様子が書かれています。また俳句にも、季節を表すことばとして虫の名前が詠まれます。日本人は長年虫に親しんできたのです。

クラブツーリズム株式会社
カブトムシ自然王国こどもの国ムシムシランド
ドルクスダンケ

文:砂崎良


Special Link

  • 東京ビジネスホテル | 新宿へチェックイン。明日へのゆとりを感じるロケーション。
  • Homestay in JAPAN!!
  • Internship in Japan
  • 英会話の先生探すサイト。個人家庭教師・外国人と英語プライベートレッスンは先生ナビドットコム。


PR