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少ない方が効果的――日本人の美学をつくる無の哲学

[2012年8月号掲載記事]

201208-6

投稿者:王 宝升さん(中国)

先日友人と東京・六本木に出かけたとき、おもしろいシーンに出合いました。芝生のエリアを鎖で丸く囲んで境目をつけていたのです。この日本人の気のきいた小さなユーモアは、私たちを深く感動させるとともに境界線を越えてはならないと警告しています。これはどんな強い言葉や高い塀よりも説得力があり効果的です。

実際、「無の哲学」や「少ない方がより効果的」という言葉は、日本人の生活のさまざまな場面で見受けられます。たとえば、日本の国旗は白地の中央に赤い丸だけがあり、いろいろと意味づけることが可能です。

もし日本の茶室庭園に行ったことがあれば、飛び石の上にワラビ縄やシュロ縄で十字に結ばれている関守石(止め石)を見たことがあるかもしれません。この石は飾るためでも、なまけ者の労働者が不注意で置き忘れたものでもありません。茶会が開かれていて、ここから先に行ってはいけないことを暗に伝えているのです。この方が、「芝生に入らないで下さい」という直接的な言葉の看板よりも心に訴えかけられ、アピールできます。

茶室は通常、畳が敷かれ、しょうじがある和室で、家具などがまったく何もないコンテナのようです。しかし、もてなす側とお客双方の想像力がこの静かな空間に満ち、おだやかな雰囲気の中で美しい状況が心に呼び起こされます。

近代化により、伝統的な和室は次第に少なくなりました。幸いにも、昨年実地調査で九州へ行ったときに、私は食事と宿泊が提供される伝統的な日本の民宿に泊まりました。そこで、日本の伝統的な建物の間取りを観察したり学んだりすることができました。

私は床の間と呼ばれる空間に興味を持ちました。床の間は伝統的な和室に備え付けられた奥まった空間です。そこには書画の掛け軸や、生け花や盆栽などが置かれています。ここに飾るものは慎重に選ばれ、その数は厳しく制限されています。

日本の習慣によると、最も大切なお客は背中を床の間に向けて座り、もてなす側はお客へ床の間の置物を見せびらかすこととなるのを避け、お客の反対側に座ります。一緒に行った日本人の友人は、床の間は和室には欠かすことのできない一部だと言いました。床の間は日本式建築の本質といっても言い過ぎではありません。

無の哲学はこの神聖な空間で特に反映されます。しょうじをつらぬく外の光が、静かな空間に置かれた選びぬかれた装飾品を照らし、次第に変化していく神秘的な雰囲気をつくり出します。その様子を想像してください。この狭くて何もない空間に言葉では表せない美しさを感じるでしょう。

日本人の考えでは、目立たない空間はたくさんの装飾品で飾られた空間よりも意味があり、すばらしく役立つようです。それは、あなたの意志を伝えるには装飾や複雑さよりも質素、素朴さが適しています。つまり、「少ない方が効果的」ということです。


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