Language:
Hiragana Times | Facebook Hiragana Times | Twitter RSS

これはHiragana Timesに掲載した過去の記事ですが、実際のマガジンではパラグラフごとに英語と日本語が交互に掲載され、漢字にはふりがながついています。 マガジンサンプル 定期購読案内へ

文房具好きな日本人

[2012年5月号掲載記事]

201205-1-1

日本では4月から新年度が始まります。多くの人が服やかばん、靴など、仕事や勉強に必要な物を買います。文房具も、この時期によく売れる物の一つです。日本のメーカーが作った文房具は、質がよくて種類も多いといわれています。なかでも筆記具は世界に先駆けて、書きやすい商品を開発してきました。

0.5ミリという細さのシャープペンシルの芯を世界で一番早く開発したのはぺんてるですし、書いていて疲れにくいホルダーを開発したのはPILOTです。三菱鉛筆は、シャープペンシルの芯をとがらせ続ける仕組みを考え出しました。インクを工夫して、一度書いた字を消せるようにしたペンもあります。一つのブランドの筆記具がいろいろな色や太さで売られているため、筆記具売り場はカラフルで、商品があふれています。

消費者も購入前に筆記具の書きやすさや性能をこまかくチェックします。日本には書道の伝統があるため、美しい字を書ける筆記具にこだわるのです。それに日本語の文字は形が複雑な上、「とめ・はね・はらい」と手を細かく動かす必要があるので、性能のいい筆記具が求められるのです。ほとんどのお客は安いペンを買うときでも、試し書きをしてから購入します。そのため筆記具売り場には試し書き用の紙が置いてあります。

201205-1-2

試し書き用の紙

 

日本製文房具の種類が豊富なのは、他人の希望を察して行動するという、日本人の性格と関わっています。その一例が消しゴムです。日本製の消しゴムは消字率(鉛筆の線を消せる割合)が95%以上の物もめずらしくないくらい質がいいのですが、それにもかかわらず新商品が次々に発売されています。それはユーザーの希望に細かく対応しているからです。

大人や高校生は筆記具を握ったまま消しゴムを使うことが多いということに気づいたメーカーは、筆記具を持ったまま使える細長い消しゴムを開発しました。消しゴムが黒く汚れるのがいやだという声に対しては、汚れの目立たない黒い消しゴムが発売されました。消しゴムを納めているケースの角が少し切り落とされているのは、消すときにケースが消しゴムに食い込んで切れてしまう、という苦情に応えた結果です。

消しゴムのかすが気になるというユーザーのためには、かすの出にくい消しゴムが作られています。字を一文字だけ消すために常に角が出ているように四角をたくさん組み合わせた形の消しゴムもあります。一社がいい商品を作ると他のメーカーも負けずに似た商品を出します。

201205-1-3

宝石をモチーフにした修正テープと鳥の形をしたもの

 

各社が競い合って、高品質の商品が生み出されていく一例が修正テープです。液体と違ってテープの上からすぐに書くことができるため、いろいろなメーカーが修正テープを開発・販売しています。どのメーカーも共通して追求しているのは、持ちやすく、動かしやすく、テープの量が多いという点です。そのため、押しても引いてもテープが出るケースや、大きさの割にテープが長いカートリッジなどが続々と市場に現れます。

他社とは違う修正テープをめざして、宝石のようにカラフルでおしゃれなものや鳥の形をしたかわいい形の修正テープホルダーなども売られています。ぺんてるのジュエリッシュや、ミドリのスイングバードです。一方、高性能の修正テープを開発しようとするメーカーもあります。消した文章が裏から盗み見られないという「裏から見えない修正テープ」を作ったプラスステーショナリーがその例です。このように修正テープの種類があまりに多いので、カートリッジを買い替えるとき迷うお客もいるほどです。

ノートなど紙の製品も高品質です。例えばマルマンの「書きやすいルーズリーフ」は、文字どおり書きやすさを追求して生まれた製品です。ペン、鉛筆、マーカーなどさまざまな筆記具できれいに書ける紙を使用しています。さらに紙の大きさや罫線の種類も豊富です。

日本製文房具の特徴の一つは、コンパクトであることです。ミドリのCLコンパクトホッチキスは全長が66ミリしかありません。カールの2穴パンチは通常高さが約5センチありますが、ハンドルを下げてロックすると高さが約3センチになります。家やオフィスが狭い日本では、場所を取らないコンパクトな製品が喜ばれるのです。また、仕事で文房具を持ち歩く人も小さいものを好みます。

日本にはかわいい文房具、おしゃれな文房具もたくさんあります。例えばサクラクレパスのボールサインというペンは、ラメ入りのインクなどがポップなので、10代の女の子にヒットしました。ミドリの動物形クリップもかわいいと評判です。ネイルアートに凝る女性たちには、プラスの指サック「メクリッコ」が人気です。爪が長くてもはめられる上、色がきれいでおしゃれだからです。

201205-1-4

coleto/デジタルのメモ帳

 

「日本の文房具メーカーは、小さくて細かくてかわいい物を作るのが得意です」と言うのは文房具専門店、銀座・伊東屋広報室の山田麻衣子さんです。「ただし、日本人は日本の文房具メーカーの物ばかりを買う訳ではありません。自分の好みの物ならどこの国の文房具でも欲しいと思い、購入します。消費者がこのように熱心なので、メーカーも文房具店もその期待に応えようとするのです」。

日本人の文房具好きを感じさせるのは、カスタマイズ文房具の存在です。文房具店では、文房具をカスタマイズするためのアイテムが売られていますし、ノウハウを教える本や雑誌もあります。PILOTのHI-TEC-C coletoは、ボールペンのホルダーと芯を別々に販売している商品で、お客は自分好みのホルダーに、好きな色のインクを入れて買うことができます。このように、自分のニーズや好みに合う文房具を手に入れるためには、手間を惜しまないのです。

最近はキングジムのポメラ(デジタルのメモ帳)、ぺんてるのエアペン(書いた筆跡をデジタルデータにするペン)など、電子文房具も売れています。またスマートフォンで写真を撮ってデータで保存できるメモ帳も好評です。一方で、逆に手書きの字のよさを見直して、高価な筆記具やノートを買う人も増えてきています。日本人の文房具好きはITの時代になっても健在のようです。

銀座・伊東屋

文:砂崎良


Special Link

  • 東京ビジネスホテル | 新宿へチェックイン。明日へのゆとりを感じるロケーション。
  • Homestay in JAPAN!!
  • Internship in Japan
  • 英会話の先生探すサイト。個人家庭教師・外国人と英語プライベートレッスンは先生ナビドットコム。


PR