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甲子園――仲間と協力して夢を追う場所

[2012年4月号掲載記事]

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甲子園は正式な名前を阪神甲子園球場といいます。兵庫県にあり、1924年に建てられた日本初の本格的な球場でした。プロ野球の球団阪神タイガースの本拠地であり、大学生にとってはアメリカンフットボール全国大会の会場でもあります。そして何よりも、高校野球の聖地として有名です。毎年、春と夏に高校野球の全国大会が行われるからです。特に夏の大会は、全国4,000校以上の高校から勝ち上がった49校だけが出場できるため、とても盛り上がります。

野球は日本の国民的スポーツですが、中でも高校野球の人気は格別です。NHKは全国大会を全て放映し、選手が有名人なみの人気者になってメディアやファンに追い回されることもよくあります。高校野球専門の雑誌もあります。

「仲間と協力して戦う野球は、日本人を感動させるスポーツなんですよ。特に高校生は本当にひたむきですし、各チームに独自性があるのも見る側にはおもしろいのです」と高校野球の人気の理由を説明するのは、株式会社エポック社カード事業部デピュティゼネラルマネージャー、石居誠さんです。エポック社は野球のトレーディングカードなどを販売していて、2011年8月には甲子園球場の模型も発売しました。値段は15,750円と安くはありませんが、「よく発売してくれた、とお客さまに感謝されました」と石居さんは話します。

「私たちがこの模型を発売しようと思ったのは、甲子園に出場した球児の親御さんや、昔甲子園にあこがれていた方、つまり大人の層が買ってくださると考えたからです。素材はポリストーン、彩色は職人による手塗りです。値段は高くなってしまうのですが、質にこだわりたかったのです」と石居さん。「甲子園は地方大会を勝ち抜いてきたひとにぎりの球児だけが行ける特別な場所です。汗と泥にまみれ仲間と共にめざすため、強い絆が生まれます。だからこそ全ての球児にとって、甲子園はかけがえのない青春の思い出なのですよ」と甲子園の重要さを語ります。

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阪神甲子園球場の模型 ® 阪神甲子園球場

 

高校野球の夏の全国大会は2011年に第93回をむかえました。そして第10回以降のほとんどの会場が甲子園です。ですから今生きている日本人のほとんどは、毎年甲子園のニュースを見聞きしながら育ってきた訳です。そのため甲子園の情報やイメージは、世代を超えて広く日本人に共有されています。

その結果、甲子園ということばは高校生や、野球以外の大会にも使われるようになってきました。2004年から行われている「マスターズ甲子園」は、野球好きな人なら誰でも何歳でも挑戦できる野球大会です。高齢者や女性のプレーも見られますし、親子がキャッチボールをするためだけに参加することもあります。この大会の売りはあこがれの球場、甲子園のグラウンドが使えることです。

高校生の全国大会が「○○甲子園」と名づけられたり呼ばれたりする現象も定着してきました。文化系のクラブ活動の全国大会が新しくつくられたとき、「○○甲子園」と命名されることが多いようです。地域の町おこし(町を活性化しようという動き)と結びついていることもあります。また、個人戦より団体戦が多いのも特徴です。

例えば1995年から行われているスーパーコンピューター・コンテストは、別名「電脳甲子園」です。これは東京工業大学が行っている高校生などを対象にしたコンテストで、スーパーコンピューターを使ってプログラム作りの技術を競います。青森県では「ファッション甲子園」が2001年から開催されています。これは服のデザインを考え、その服を作り上げて着て見せた上で出来ばえを競うというものです。地元のアパレル産業を盛り上げるねらいもあります。そのほかに俳句や生け花、クイズ、書道パフォーマンスなど、さまざまな甲子園があります。

高知県では1992年から県や企業、地元の人が協力して「まんが甲子園」を開催しています。このイベントは、夏の高校野球の大会にとてもよく似ています。第一に、高校生たちは学校ごとにチームを作り、仲間と協力しあってまんがを描き上げます。第二に、予選を勝ち抜いたチームだけが高知県へ行けます。第三に、大会は8月に行われます。

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まんが甲子園

 

「県内の高校生から『自分たちも参加できるまんがのイベントがほしい』という意見があったことが始めたきっかけです。野球の甲子園のように、仲間と協力して競う大会、まんが好きな高校生の聖地となってほしいという思いもあって、まんが甲子園という名前になりました」と、高知県文化生活部まんが・コンテンツ課主幹の中岡祐二さんは話します。「20回も続いたのは、地元の方々があたたかく協力してくれたからだと思います」。

「高校生たちが協力しあって一つのことに集中している姿を見られるのが、この仕事のいいところです」と中岡さん。「みんな熱心で、勝つと感動して泣きますし、負けるとくやしがります。それにチームメートだけでなく、他のチームとの間にも友情がめばえるようです。まんが甲子園は制限時間内にまんがを描き上げないといけないのですが、あるチームの絵の具が足りなくなってしまったとき、他のチームが分けてあげていましたよ」。

ここ数年は、大人が参加する甲子園が増えてきました。その一つは「介護甲子園」です。これは介護の仕事をしている人たちが仕事への熱心さを競うコンテストです。「居酒屋甲子園」もあります。これは居酒屋が店ごとにチームを作って、他のチームと料理やサービス、仕事への思いを比べあうというイベントで、2006年に始まりました。その目的は、競争したり、他の店の話を聞いたりすることによって、自分の店を改善したり、居酒屋業界全体を活性化したりすることです。

「高校球児が日本一をめざし、夢に向かってひたむきに努力する様子は、私たち大人も見習うべきものだと感じたので、居酒屋甲子園という名称にしました。それに、甲子園のイメージは仲間との絆です。居酒屋もチームワークが必要な職場ですから」とNPO法人居酒屋甲子園事務局の清水香里さんは言います。「参加者が『忘れていた初心を思い出しました』『もう一度夢に挑戦します』と言ってくれるのが嬉しいですね」。

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居酒屋甲子園

 

甲子園は日本人にとって、ただの球場の名前ではなく、仲間と協力しあって他のチームと競争し夢を追いかける大会を意味することばとなっているのです。

株式会社エポック社
まんが甲子園
居酒屋甲子園

文:砂崎良


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