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復興を支えるボランティア活動の組織化

[2011年7月号掲載記事]

ガラスの破片を取り除くボランティア

 

3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震は死者行方不明者数が23,000人にのぼる日本の戦後史上最悪の災害となりました。なかでも宮城県は多数の沿岸部が津波にさらわれ、死者行方不明者の合計は約15,000人。宮城県で仙台市に次ぐ人口の石巻市では、5,700人以上が死亡もしくは行方不明という大きな被害を受けました。

その石巻市で日々行われているボランティア活動は「石巻方式」と呼ばれ、注目を集めています。これは被災者の需要に合った活動ができるよう、ボランティアスタッフを効率よく組織化したものです。石巻専修大学の広大な敷地がその拠点となっており、敷地内の陸上競技場には平日でも500~1,000人のボランティアがテントを張って寝泊まりしています。

最も早い段階で石巻入りし、毎週100人以上のボランティアを東京から送り込んでいるのはNGO団体ピースボートです。そのコーディネーター、上野祥法さんは、これほど多くのボランティアがうまく活動ができている石巻方式には3つの幸運が重なった、と感じています。

まずは、市が活動拠点となる土地を確保できたこと。現在拠点となっている石巻専修大学と石巻市は、実は一年以上前から津波被害にあった場合の使用について交渉を進めてきました。市は救援物資の保管場所やヘリポート、そして1,000人規模のボランティアの受け皿づくり、環境づくりが必要であると想定していたのです。内陸部にあり、広いグランドを持つ同大学は、その必要条件を満たしており、被災時の動線まで想定されていました。石巻市長の亀山紘さんが同大学の元教授だったこともあり、震災後は大学の全面協力のもと、ボランティアの受け入れはスムーズに進んだのです。

第二に、地元でボランティア受け入れの窓口となる石巻市社会福祉協議会(以下社協)が、フレキシブルに対応したこと。企画総務係長、阿部由紀さんは、「被害があまりに大きすぎて、来てくれる団体の受け入れを断る理由はありませんでした」と当時を振り返ります。社協は地元民に最も近い立場として、悩みの聞き取りも行っています。「標準語を話す人が来ると、こちらの人は遠慮しがち。同じ方言を話す人間には悩みを話しやすいんです」と阿部さんは地元民ならではの強みを語ります。

作業後の洗浄

 

第三に石巻災害復興支援協議会(以下協議会)が作られたこと。実際、協議会の存在なしに、石巻方式を語ることはできません。220以上のNPO、NGO団体が協議会に登録していますが(5月17日現在)、これら団体が、それぞれ独自に活動を行うと、炊き出しで同じ場所に行ってしまうなど活動内容が重なるおそれがあります。そうならないよう毎日夜に活動の進行状況を報告しあっています。

社協や協議会に寄せられたボランティアの要請を、各NGO、NPO団体の得意分野に振り分けるのはとても大事なことだと協議会会長の伊藤秀樹さんは当初から考えていました。「NGO、NPOは元々目的を持った団体で得意分野もあり、問題意識も強い。彼らのスキルを地元民の要求とどうマッチングさせるか考えるのが我々の仕事なんです」と伊藤さんは言います。

ボランティアを希望する人たちはまず社協か協議会に登録します。協議会にはメディカル、心のケア、移送、キッズケア、炊き出し、マッドバスターズ(浸水した家屋や店舗などからのヘドロのかき出し作業)、リラクゼーション、復興マインド(調査)、生活支援(物資配布)の9つの分科会があり、各団体に所属する人たちは自分たちが得意とする活動に参加します。

分科会のうち、最も人数を割いているもの、そして社協に登録したボランティアのほとんどが参加するのがマッドバスターズです。浸水した建物にはヘドロが流れ込んでおり、取り除くのは大変な作業です。その状況を見ただけで「再び立ち上がろう」「がんばろう」という気持ちを失ってしまった人もたくさんいました。

石巻市中心部の商店街でも、何人かの店主たちはヘドロに埋まった店内の状況を見て今後の営業をあきらめていました。そこで社協と協議会はマッドバスターズを派遣。5人単位のグループで集中して働けば1~2日でヘドロを取り除ける店も多く、一人ではなすすべもなく呆然としていた店主が、ボランティアの活動後、きれいになった店内を見て営業再開の計画を立て始めるということもありました。

休憩中のマッドバスターズ

 

マッドバスターズに最も人を送り込んでいる団体の一つがピースボートです。本来は世界一周の船旅を通じて国際交流を図るNGO団体ですが、「多くのスタッフに無駄なく動いてもらうことや移動手段を手配することなどは通常の活動内容とほぼ同じなんです」と上野さんは言います。また炊き出し班では、船上で腕を振るっていたシェフが活躍するなど人脈も生かされています。得意とするジャンルと仕事の内容が合っており、ピースボートの独自色を出しつつ活動ができていると上野さんは感じています。

地元民の要求とボランティアの得意ジャンルをマッチさせる。簡単なようで難しく、これまではあまり論じられてこなかったことです。行政も一丸となって、ボランティアパワーと地元民の需要の間にうまく橋を渡せば効率的な活動ができることを、この石巻方式では示したのです。

実は協議会の名称にはあえて「石巻市」の「市」の文字を入れていません。石巻からこの活動形式を他の地域へ持っていきやすいようにとの思いをこめたと伊藤さんは言います。一般市民が積極的にボランティアに参加するようになった阪神・淡路大震災の「ボランティア元年」から16年。進化したボランティアの形が東北の復興を助けています。

石巻災害復興支援協議会
ピースボート
石巻市社会福祉協議会

文:市村雅代


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