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グローバル化の波と日本のおもてなし

[2011年5月号掲載記事]

「これが日本人と外国人のおもてなし観の違いか、と思いました」。旅館「加賀屋」専務の鳥本政雄さんは話します。「初めて海外につくった加賀屋、台湾の日勝生加賀屋に行ったときのことです。私はのどがかわいたなと思いながらずっとお茶が出るのを待っていたのですが、台湾人の社員は動きませんでした。彼女を呼んで『どうしてお茶を出さないのですか』と聞いたら、『欲しいときはおっしゃってください。いつでも喜んでいれます』と答えたのです」。

加賀屋は石川県にある温泉旅館です。約100年の歴史があり、宿泊料金は1人1泊33,750円からです。1日に最大1,400人が泊まれる旅館で、館内には劇場やスパ、お土産の店もあり、スタッフの接客術も好評です。旅行新聞新社は毎年旅行会社にアンケートをとって「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」を認定していますが、加賀屋は31年続けて総合1位です。

日勝生加賀屋

 

加賀屋の客室係は、お客に合わせておもてなしするよう教育されています。例えば、お客の身長を目で測って、ちょうどいいサイズの浴衣(くつろぐときに着る和服)を用意しますし、外国人のお客が刺身を食べにくそうにしていたら、鍋料理の道具を持っていきます。生の魚が苦手な人も、しゃぶしゃぶ(軽くゆでる料理法)にすれば食べられるからです。

「おもてなしで大切なのは、相手の立場に立って考えることです」と鳥本さんは言います。「例えば自分が相手だったら、そろそろのどがかわくころではないか。そう考えながらお客様の表情やしぐさを見ていると、ご要望を感じ取ることができます。お茶をくださいと言われて出すのは当たり前です。言われる前に察してお出しするべきなのです」。

加賀屋は昨年12月、台湾に進出しました。「台湾人の採用に当たっては、日本語能力試験の2級以上を要件としました。日本語に興味をもって学んだ人なら、日本のおもてなしも理解できるだろうと考えたからです。しかし、実際は難しいようです。また台湾のお客様のなかにも、頼んだことをしてくれれば十分という方もいらっしゃいます。迷うこともありますが、日本式のおもてなしをつらぬくべきだというのが私の考えです」。

日本のおもてなし観を、その国に合わせて定着させようとしている企業もあります。ファミリーマートは日本生まれのコンビニ(コンビニエンスストア)です。日本でのシェアは業界3位で、2011年2月28日現在、国内に8,248店、海外に9,350店あります。

日本のコンビニはとても便利です。多くのコンビニが1日24時間、年中無休で営業しています。主に食べ物や飲み物、日用品を売っていますが、電子レンジでお弁当を温めたり、食品と日用品を分けて袋詰めするなど細かいサービスをしてくれます。それにコピー機やファックスが使えたり、公共料金を払ったり、宅配便を出したり受け取ったり、いろいろなことが可能です。

「ライフスタイルがさまざまになると、お客様のニーズも多様化していくことから、より細かいサービスが求められるようになっていきます」と広報グループの伊藤史織さんは話します。「今の日本はコンビニが多いので、お客様はより気持ちよく利用できるコンビニを選びます。わが社はよいおもてなしで選ばれたいと思っています」。

「わが社は日本生まれのコンビニなので、日本らしいおもてなし観を持っていると思います」と伊藤さんは言います。「お店にいらっしゃったお客様は、わが家に来てくださったお客様と同じように考えています。例えばお店によっては、雨の日にはタオルを、お子さんには小さな買い物かごを用意するなどしています」。

「私たちは現地のおもてなし観を大切にしています。日本の商品をそのまま海外で提供するのではなく、よりよいおもてなしができるよう現地の習慣に合わせてさまざまな工夫をしています。例えば、中国でもおでん(日本の冬の食べ物)を販売していますが、味付や具はもちろん現地に合わせています。それに、おでんを串に刺して販売しています」と伊藤さん。

亀田メディカルセンター

 

一方おもてなしを病院に取り入れようとしている外国人がいます。千葉県にある亀田メディカルセンターの特命副院長、ジョン・ウォーカーさんです。「日本のホテルや店のおもてなしはすばらしいと思います。でも病院では、患者に対するおもてなしの質がとても低いのです」。

「日本の病院は患者に制約を設けすぎです」とウォーカーさんは指摘します。「例えば面会時間です。なぜ自由に友だちと会ったり、家族を部屋に泊めたりしてはいけないのでしょうか? それに、食事に制限のない患者なら、好きな料理を食べたりお酒を飲んだりしてはいけない理由は何もありません。個室でないことは論外です」。

「日本の医者や病院は歴史的に、自分たちを患者より上の存在だと考えてきたのです」とウォーカーさんは分析します。「ですから患者をもてなすという気持ちはありません。説明もあまりしないで、黙って信じなさいという態度です。一方ホテルや店は、お客を自分たちより上の存在だと考えています。ですからとてもていねいにおもてなしをするのです」。

「私たちの考えるおもてなしは、温かくて快適な雰囲気をつくり、自分にしてほしいことを人にもしてあげること、頼まれるより前に申し出ることなどです。外国人のスタッフも日本人のスタッフも、同じおもてなし観を持っています」とウォーカーさん。「企業努力で一般的な患者が個室に入れるようにしていますし、食事もたいてい選べます。私たちのおもてなしが日本の病院のスタンダードになっていくことを望みます」。

グローバル化の中で、日本のおもてなしも変化しているようです。

加賀屋
株式会社ファミリーマート
亀田メディカルセンター

文:砂崎 良


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