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現代日本の「永眠の地」事情

[2010年11月号掲載記事]

Typical Japanese graves

日本では火葬(遺体を焼いて灰にすること)が一般的です。土葬(焼かずに土に埋めること)より、お墓をたてるために必要な土地が狭くてすみ、衛生的だからです。火葬の後は遺骨を、たいてい家族のお墓に納めます。墓石には家族の名字が書かれており、家族の遺骨が代々入れられます。お墓の管理や供養(亡くなった人のために宗教的な儀式を行うこと)は主に配偶者、または長男の役目とされます。

しかし最近は、新しいタイプのお墓を選ぶ人が増えてきました。現在では家族を「夫婦とその子ども」と考える人が多くなったためです。また、長男がお墓を受けつぐべきだという考え方を古いと感じる人や、子どもにめんどうなお墓の管理をさせたくないと考える人、一生独身の人が増えたためでもあります。

Ruri-den

東京・新宿にある幸國寺には琉璃殿という建物があります。2006年に建てられた、遺骨を納めるための建物です。建物に入ると、正面に大きい仏像があります。壁には、古代ガラス技法でつくられた約2,000体の小さな仏像が並んでおり、それぞれの仏像の後ろのスペースに、遺骨を納めるロッカー式の収蔵庫があります。ガラスの仏像はフルカラーのLED照明によって、さまざまな色に光ります。

琉璃殿の特徴は、東京の都心で交通の便がいいところにあることと、幸國寺が管理してくれるため、将来お墓を管理する人がいなくてもいいことです。それに、土地のせまい東京で、地面の上にたてるお墓を買うと数百万円しますが、琉璃殿は75万円からと、比較的安い金額です。お墓を買った人にはICカードが渡されます。このICカードを機械に読み取らせると、一人ひとりの仏像が点滅して、それぞれの使用者にその位置をはっきりと知らせます。

案内所責任者、村松光國さんは話します。「琉璃殿は、都内で仕事をしていた方々が建てたお墓です。皆さま、退職後に自分のお墓のことを考えるようになられて、幸國寺と協力して自分たちらしいお墓をつくられたんですよ。子どもの負担にならずにすむし、すぐお墓参りに来られると好評です。琉璃殿の仏様は、生きている間は守ってくださいますし、亡くなったあとは浄土(人間が死んだ後行く、仏様の世界)へ導いてくださいます」。

伝統的な「家族のお墓」は、女性にとって不便な点がありました。たいていの女性は結婚すると名字が変わります。そのため夫の家のお墓に入ることが一般的です。「夫の家のお墓に入りたくない」と考える女性や離婚した人、独身女性にはお墓さがしが大変でした。

SSS Network’s women-only, communal grave site

NPO法人SSSネットワークは、自分らしさを大切にして生きようとしている女性たちの団体です。メンバーは会合を開いて、老後の備えについて勉強したり、助け合うネットワークをつくったりしています。また、お花見やパーティーを楽しんだりもします。この会は女性だけの共同のお墓を持っており、メンバーは25万円という安い価格で入ることができます。

「今を幸せに生きるために最後の場所を決めておこう。そういう考えで共同墓地をつくりました」とSSSネットワーク代表の松原惇子さんは言います。「また、私たちは心を大切にしたいと思っているので、年に一度メンバーで追悼会をしています。おかげでメンバーからは、『自分のお墓ができて安心しました』『みなさんに追悼していただけるとわかっているので、さびしくありません』と言われます」。

遺骨を自然へ返してほしい、と考える人も増えてきました。ブルーオーシャンセレモニーでは東京湾などで散骨(細かくした遺骨をまくこと)を行っています。また千葉県の天徳寺では、樹木葬をしています。遺骨を地面に埋めて、その上に樹を植える葬儀です。桜など40種類の樹や花から好きなものを選ぶことができ、山に緑を増やすことにもなると好評です。

Jumoku-so, Tentokuji Temple

遺骨や亡くなった人の髪を入れたアクセサリーを身につける人もいます。この「モーニング・ジュエリー」(モーニングは悲しみ、という意味)はもともとヨーロッパの習慣でしたが、日本でも最近行われるようになってきました。静岡県にある株式会社インブルームスでは、200種類以上のペンダントを用意しています。

科学の力を使ったモーニング・ジュエリーもあります。遺骨や亡くなった人の髪から炭素を取り出し、ダイヤモンドを作るのです。価格は0.1カラットで20万円前後です。「お葬式を盛大に行って数百万円を払うより、ずっと手元に置いておけるダイヤモンドにお金を使いたいと思いました。夫の遺骨で自分と娘それぞれのためにアクセサリーを作り、お守りとして身につけています」と、ダイヤモンドを注文した佐藤貴子さんは言います。

遺骨をお墓などに納めるのでなく、手元に保管する方法を選ぶ人もいます。と野村弘さんは話します。「私たち家族のお墓は北海道にありますが、私もきょうだいもみな東京に住んでいます。なかなかお墓参りに行けないので、親の遺骨はきょうだいで分けました。それぞれが自宅で大事に保管しています。私のうちは狭くて、仏壇(仏像や位牌を置くための棚)が置けないので、小さな骨壺に入れて棚に置いています」。

「お葬式や供養が、盛大なものからシンプルなものへ変化した背景には、物理的な理由と心理的な理由の両方があると思います」とインブルームス広報担当の冨永麻美さんは言います。「都会に住む人は家が狭いので、大きい仏壇は置けません。また洋風の家には、モダンな仏壇の方が合います。それに核家族化が進んだため、親や親戚の意見に左右されないで自分らしいお葬式を選ぶ方が多くなりました。伝統的なお葬式を選ぶ方もおおぜいいらっしゃいますが、全体的に自由な発想のお葬式が増えてきていると感じます」。

幸國寺
NPO 法人SSS ネットワーク
天徳寺
ブルーオーシャンセレモニー
株式会社インブルームス

文:砂崎 良


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