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目指すのは身近に使われる伝統工芸品

[2014年9月号掲載記事]

201409-3

こけしは丸い頭と円柱状の胴体を持つ木で作られた人形です。江戸時代(17~19世紀)に東北地方で農家の子どもたちのおもちゃとして作られたのが始まりだといわれています。その後、全国の温泉地でお土産として売られるようになりました。近年では観賞用に購入する人がほとんどです。

1926年創業の木地処さとう(福島県いわき市)は伝統こけしを作る工房です。2代目の佐藤誠孝さんと妻の美喜子さん、そして息子の英之さんと裕介さんの家族4人全員がこけし職人です。2010年にはこけし3大コンクールのひとつである全国こけし祭りコンクールで家族みんなが入賞しました。

誠孝さんは、こけしを作っていた父の誠さんが亡くなるまで商船の乗組員として働いていました。その後自然に跡を継ぐ流れになりましたが、実はこけしの作り方を教わったことは一度もありませんでした。「父の遺してくれた道具が師匠みたいなものです。それをどうやって使うのか文献を当たったりして試行錯誤しながら作り方を学んでいきました」。

そうして自分なりにこけしを作るようになって20年目、誠孝さんはこけしをもっと身近に感じてもらいたいと考えるようになります。飾るだけでなく生活の中で使ってもらえるものを作ろうとしたのです。最初に作ったのは印鑑を入れることのできるこけしでした。しかし、伝統こけしの世界ではあまり評判はよくありませんでした。「数も多くは作っていなかったので、そもそも反応がなかったですね」と思い返して笑います。

木地処さとうの「使えるこけし」に注目が集まってきたのはここ10年ほどのことです。息子の英之さんが3代目となりホームページを開設したことも影響しました。今ではこけしの形をした印鑑やスマートフォンのイヤホンジャックに差し込むアクセサリーなど種類も増えています。誠孝さんは「日常生活の中でなんとなく使っているものが、気が付いたら伝統的なものだったという自然な形でこけしを使ってもらえることがうれしいです」と言います。

誠孝さんはこけしの面白さを、自分でも思いがけないものができ上がるところだと言います。現在、伝統こけしは注文を受けてから作ることがほとんどで、お客との打ち合わせを経てでき上がっていきます。「自分が作るというのではなく、作らされているという感じです。若い頃は自分が作りたいものを作ろうとしていましたが、今はどんなものができるのか特に考えることなく筆の流れるままに作業しています」。一見無表情に見えるこけしですが、よく見ると一体一体表情が異なり、個性豊かであることがわかります。

誠孝さんが今一番熱心に取り組んでいるのは一寸五分(約4.5センチ)の極小伝統こけし作りです。大きいこけしだと場所を取るので小さくしてみようと作り始めました。しかし小さいものはバランスを取るのが難しく、集中力も必要です。「その作りづらいところが作り手冥利に尽きるんです」と現在67歳の誠孝さんは話します。「楽しいけれど肉体的にはきつくなってきました、でも、作ってみたいこけしはまだまだあります」。

木地処さとう

文:市村雅代


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