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これはHiragana Timesに掲載した過去の記事ですが、実際のマガジンではパラグラフごとに英語と日本語が交互に掲載され、漢字にはふりがながついています。 マガジンサンプル 定期購読案内へ

目が見えないから気づいた日本語のおもしろさ

[2014年3月号掲載記事]

201403-5

撮影:森豊

モハメド・オマル・アブディンさん

「日本の食べ物で大好きなのは果物のナシ。食べられないと全てだいナシ。ああ、またギャグを言ってしまいました」と、モハメド・オマル・アブディンさんはユーモラスに話します。アブディンさんは東京外国語大学大学院の学生です。同時に「スーダン障害者教育支援の会」の副代表理事でもあります。

アブディンさんはスーダンのハルツーム出身です。子どものときから目がだんだん見えなくなりました。周りの人に教科書を読んでもらって勉強し、ハルツーム大学法学部に入学しました。ところが大学は政治問題のせいで閉鎖されてしまいます。どうしようと思っていたところ、目が見えない人を支援する日本の団体が盲学校への留学生を募集していることを知って応募してみました。すると大勢の中からアブディンさんだけが選ばれました。

1998年、アブディンさんは来日しました。他の国から来た留学生たちはみんな、自分の国で日本語を勉強していましたが、アブディンさんは勉強したことがありませんでした。また、点字にも慣れていませんでした。いきなり日本語能力試験1級(現N1レベル)の問題をやらされたときには、まったくわからないのでショックのあまり泣き出してしまいました。

「アラビア語では動詞がはじめに来ますが日本語では終わりにきます。だから最後まで聞かないと意味がわかりません。カタカナで書かれた外来語は、元の英語とは発音がかなり違います。漢字は最初、その存在すら知りませんでした」とアブディンさんは振り返ります。

成績が悪すぎた場合はスーダンに帰らなければなりません。「目が見えませんから、生活には人の助けが必要です。頼むのですから丁寧に言わなければなりません。だから日本語が早く上達したと思います。会う日本人はみんな生きた教科書、会話は勉強のチャンスだと思って、がんばりました」。

アブディンさんは録音図書を何度も聞きました。また、ねんどの上にわりばしで漢字を書いて、さわりながら覚えました。ホームステイ先のお父さんが言うギャグや方言を、先生や同級生にそのまま言って覚えました。特に漢字は、どのように書かれているのかなどを積極的に聞いて、頭の中でデータベース化しました。いろいろなジャンルの自然な日本語を聞けるラジオも役立ちました。

2000年、アブディンさんは日本語能力試験1級を受けて合格しました。また、コンピューターと画面音声読み上げソフトの使い方を習いました。キーボードの位置を覚えることから始めたのでとても苦労しましたが、自分の力で読んだり書いたりできるようになりました。同時に、スーダンの目の見えない子どもたちに点字を広めたいと考え、スーダン障害者教育支援の会をつくりました。

アブディンさんは現在、スーダンの南北紛争についての博士論文を書いています。同時に、日本に来てからの15年間の体験を「わが盲想」という本にまとめました。「このタイトルは、妄想という単語の妄の字を目が見えないという意味の盲に変えたものです。目が見えない分、こういう漢字遊びを自由にできて楽しいんですよ」。

文:砂崎良


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