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アメリカのオーディション番組で優勝

[2014年2月号掲載記事]

201402-7

エビナ・パフォーミングアーツ代表
蛯名健一さん

「僕はダンスが上手じゃありませんよ」と蛯名健一さんは言います。「だいたい、ダンスなら白人や黒人の体形の方が見映えがします。ぼくはアジア人で背も低いので、だめだと思っていました」。そう話す蛯名さんは2013年9月、アメリカの有名なオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で踊って優勝し、賞金100万ドルをもらいました。

蛯名さんは1974年に東京で生まれました。特にダンスが好きだったわけではありません。友だちにダンスの好きな人がいたので、一緒に踊ったりクラブへ行ったりしていたくらいでした。20歳で失恋したとき「そういえばアメリカに行きたかったんだ、俺」と思い、園芸店を辞めて留学しました。

蛯名さんにとってアメリカでの体験はとても新鮮でした。「勉強が楽しいと初めて思いました」と言います。「日本の授業は、先生が話すことを黙って聞いてノートに書いて暗記します。アメリカの先生は生徒に積極的に発言させます。そして生徒も間違いだらけの英語でも堂々と話します。間違えるのを恥ずかしがるのは日本人だけでした。日本人の方がネイティブの学生より文法の点数はよかったりするのに、失敗を怖がるんです」。

「ぼくにはアメリカのスタイルの方が合っていました」と蛯名さんは言います。「それに、日本人は人と違うことをすることをいやがりますが、アメリカではみんなと同じでなくてもかまいません。ぼくにはアメリカの方が自分を出しやすいと感じました」。

その頃蛯名さんは、学校のパーティーでダンスをしました。「昔友達から習ったステップをして見せたらうけたんです。うれしくて独学でダンスの練習を始めました。ビデオを見たりパフォーマンスを見に行って、おもしろいと思ったものと同じ動きをやってみるんです。アルバイトでも、パーティーに行って踊ったり盛りあげたりする仕事をしました」。

ニューヨークには世界中からダンサー志望の人が集まってきます。「競争率が高いし、ぼくはかないません」と蛯名さんは言います。「でも自分のだめな部分を認めたら、別のやり方があることに気づけたんです。ぼくは体がかたいので、どうしたらやわらかく見せられるだろうと工夫し、どうしたらお客さんに楽しんでもらえるだろうと構成や演出の努力をしました」。

蛯名さんのパフォーマンスは音楽や光、映像とダンスを組み合わせているのが特徴です。ダンスはヒップホップやジャズ、エスニックなど、蛯名さんがおもしろいと思ったものは何でもとり入れています。マジックもやります。これまでに、ニューヨークのアポロ劇場の「アマチュア・ナイト」で、団体で年間優勝、TV版の「ショータイム・アット・ザ・アポロ」では個人で7回優勝、年間優勝もしました。日本、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアなど、様々な国でパフォーマンスもしました。

「ぼくは見せ方がうまいんだと思います」と蛯名さん。「だからいずれは演出をしたいですね。ぼくよりうまいパフォーマーは大勢いますが、自分の見せ方を知らない人が多いんです。彼らを集めてショーをするのが夢です」。蛯名さんは日本の若者にエールを送ります。「日本だけにいると日本の良さにも気がつきません。世界へ出ると視野が広くなりますし、英語ができるとマーケットが世界中に広がりますよ」。

エビナ・パフォーミングアーツ

文:砂崎良


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