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サンタクロースに学んだ「親の品格」

[2013年12月号掲載記事]

201312-5

パラダイス山元さん

「私がサンタクロースになったのは、まったくの偶然でした」と、パラダイス山元さんは言います。パラダイスさんは日本人でただ一人の、グリーンランド国際サンタクロース協会公認のサンタクロースです。クリスマスには、家で過ごせない小児病院や福祉施設にいる子どもたちの元を訪問しています。

パラダイスさんの本当の仕事はラテン音楽のミュージシャンです。1998年、知人から突然「体重は120キロ以上ありますか?」と聞かれました。「ぎりぎりあるかも」と答えると「サンタクロースとしての活動もしたことがありますね」と聞かれました。パラダイスさんは、自身のライブや幼稚園でのイベントをサンタの服装で行ったことがありました。「ええ、まあ」と答えると、「では、ぜひデンマークへ行ってください」と言われました。

パラダイスさんは協会の本部へ行って試験を受け、合格して公認サンタになりました。しかし最初の数年は、公認サンタをこの先も続けていいのか悩みました。協会からお金は一切もらえません。お金と引き替えに「サンタからの手紙」をあげることも禁じられています。また、毎年自分のお金で協会へ行き、世界サンタクロース会議に出なくてはなりません。「しかも、自宅からデンマークへの往復もサンタの服装でなければいけないんです。真夏なので体力的にも大変です」とパラダイスさんは苦笑します。

「そんなにつらくてやめたいのなら、やめたら」と奥さんから言われたことがありました。しかしそれは奥さんから背中を押されたのだと理解しました。「ここでやめてしまっては、今までの数年間が無になってしまう」と思いました。

パラダイスさんには忘れられない思い出があります。「ある福祉施設を訪ねたとき、ふだんは誰とも話さないという子に会いました。その子が、私とは話をしてくれたのです。施設の人たちも『この子の声を初めて聞きました』と驚いていました。このようなことがあるので、悩みながらも続けてきて、今はこれでよかったのだと思っています」。

パラダイスさんは北海道の出身です。「私が小さいとき、クリスマスの朝は窓の外の雪の上に、足跡がついていました。両親が、ただプレゼントを置くだけでなく、そういう演出もしてくれたのです。子どもの私は『サンタがここから来たんだ!』と大はしゃぎしました。高校時代には親に反抗したこともありますが、そういうクリスマスを思い出すと親の愛情を感じますし、自分も子どもにそうしてあげようと思うようになりました。サンタから親の品格を教えてもらったと思っています」。

パラダイスさんは今の日本での一般的なサンタクロースのイメージを残念に思っています。「日本の子どもたちは、サンタさんに高価なプレゼントをもらうのがあたり前だと思っています。『クリスマスにゲーム機をもらい、お年玉でそのソフトを買うんだ』なんて聞くと寂しいですね。もっと、家族の絆を深める、ドラマチックなクリスマスを過ごしてほしいと思います」。

サンタクロースサイト

文:砂崎良


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