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金魚に救われた美術家が器の中に金魚を描く

[2013年6月号掲載記事]

201306-6

Kingyo Sake-Yuki/金魚酒-夕姫
85×85×H55mm 2012年
木曽檜一合枡、樹脂、アクリル絵具

 

深堀 隆介さん

美術大学を卒業後、会社勤めをしていた深堀隆介さんは、美術家になる夢を実現するため、26歳で会社を辞めました。しかし、得意とする分野も独自の技法もなく、将来への不安に悩まされ、夢をあきらめようとしました。ある日、悩み疲れて自分の部屋に寝転がったとき、水槽の中の一匹の金魚に目がとまりました。7年前、夏祭りの「金魚すくい」で手に入れたメスの金魚でした。

「世話をしていなかったので水槽はふんで汚れていましたが、真っ赤な金魚は20センチくらいにまで成長していました。上から見ると、とても美しくて、私の背筋はぞくぞくしました。なぜ自分の存在に気づいてくれないのか、とまるで金魚が叫んでいるようでした。その瞬間、このこが私を救ってくれる、と直感しました」と深堀さんは振り返ります。その日のことを「金魚救い」と呼んでいます。

「初めは金魚に影を描いて立体感を出していました。しかし、それだけでは美術家として生き抜いていけないと考え、自分だけの技法を生み出すために研究を重ねました。あるとき、樹脂を使って造形物を作るアルバイトをしていたころの経験を思い出し、透明樹脂の中に直接絵の具で描いてみたところ、見事に成功したのです」。

「金魚救い」から2年後の2002年、深堀さんは自身があみ出した技法で、金魚を立体的に描いた作品を発表しました。まるで本物の金魚を閉じ込めたかのような作品は見る人を驚かせ、美術作品として高く評価されるようになりました。その翌年には美術賞も受賞し、2007年には神奈川県横浜市に新しくアトリエを構え、2009年からはドイツ、イギリス、香港など海外でも個展を開いてきました。

深堀さんの描く金魚たちは水槽の中ではなく、茶碗、日本酒などを量る四角い升、あるいは古い机の引き出しの中にいます。その理由は、「私は本物の金魚を見ながら模写しているのではありません。飼っている金魚たちを普段からずっと眺めていて、器などを見ているうちに金魚が目に浮かんできたら、自分のイメージで描いているのです」と説明します。

金魚は、現在、日本でも一般的な観賞魚です。しかし、もともと海にいる熱帯魚とは違い、人の世話によって生きています。深堀さんは「金魚は美しく神秘的な反面、かわいそうな存在。自分たちがすむ水槽を自分たちのふんで汚していて、まるで地球を汚す人間のようです。命や環境について日々、考えさせられます」と話します。

一時は大量に注文を受け、寝る時間をけずって描いていましたが、現在は受注をしていません。金魚の養殖で有名な愛知県弥富市の近くで生まれ育った深堀さんは、「養殖をする人たちが金魚を育てるように、私も自分がイメージした金魚に命を吹き込み、見た人に愛でられる作品を生み出したいのです」と語ります。金魚という存在は自分にとって何を意味するのか、答えを探し求めて、今日も金魚を描いています。

金魚養画場


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