Language:
Hiragana Times | Facebook Hiragana Times | Twitter RSS

これはHiragana Timesに掲載した過去の記事ですが、実際のマガジンではパラグラフごとに英語と日本語が交互に掲載され、漢字にはふりがながついています。 マガジンサンプル 定期購読案内へ

高級品のイメージを変える、日用品としての漆器

[2011年10月号掲載記事]

ウルシという言葉を聞いたことがありますか。「漆」とは漆の木から採れた樹液を集めた天然塗料で、漆を塗って仕上げた木製品を「漆器」といいます。英語で「japan」と書かれることもあるように、日本を代表する工芸品です。石川県でつくられる漆器、「輪島塗」はよく知られています。

輪島塗の木地屋(木地を作る)職人の家に生まれた桐本泰一さんは、高校卒業後、デザインを学ぶために大学に進学します。入学後まもなく「デザインとは、人の生活の質をより高め、気持ちの良い方向に向かわせるための行為」という恩師の言葉に出合い、桐本さんは感銘を受けます。

輪島塗には高級品というイメージが根強くあります。バブル期(1980年代後半の日本で起こった超好景気)には、1,000万円を超える蒔絵(漆に絵や文様を描き、金銀粉を蒔いて研磨する技法)の家具が次々と売れました。桐本さんは「こんな状況は長く続かない。今のうちに手を打とう」と父に話しましたが、「今ある仕事をしっかりやりとげろ」と諭され、足元を固めることに集中しました。

やがてバブルが崩壊し、美術工芸漆器の注文は激減します。桐本さんはこれを機に、日常の暮らしで使う漆器を「漆デザイン・プロデューサー」として提案していきます。しかし、これまでの輪島塗の世界では、まずは塗師屋がお客から受注し、木地屋はその塗師屋から受注するのが一般的です。桐本さんの新機軸を快く思わない塗師屋の中には、桐本さんへの木地発注を控える人もいました。それでも桐本さんは「漆で生活を気持ちよく、便利に」の信念を捨てませんでした。

漆器は熱い食べ物を入れてはいけないし、手入れが大変そうという人がいます。でも沸騰したての汁物を入れたり、電子レンジで使ったりしなければ問題ありません。手入れは水や湯で中性洗剤をつけたスポンジを使って洗い、すすいでからタオルなどで拭き取ればいいのです。長く使って痛んできたら、塗り直してもらうことができます。

桐本さんは、これまでの輪島塗の枠を超えた漆器を次々とプロデュースしています。傷がつきにくいパスタ皿、携帯ストラップ、名刺入れなどです。「輪島キリモト」のブランドで、輪島だけでなく金沢やオンラインショップに出店。桐本さんの商品を取り扱う店は、東京の老舗デパートをはじめ全国各地にあります。

2007年にはルイ・ヴィトン社から漆塗り六角小箱の注文を受け、桐本さんがデザインと製造監修を担当しました。日本食の好きな世界的エンターテイメント企業の会長から傷つきにくい漆器を多種類受注するなど、桐本さんの商品は世界へ広がっています。

「私は輪島産地の中では独特の動きをしているので、孤立することもありますが、お客様への商品提案が受け入れられるととてもうれしく元気になります」と桐本さんは話します。職人たちの技をどのように集結し、消費者に「生活に必要」と感じてもらえる漆器を生み出すのか。大学で恩師の言葉を聞いて以来、それが桐本さんの永遠のテーマです。

輪島キリモト・桐本木工所

文:松本誠也


Special Link

  • 東京ビジネスホテル | 新宿へチェックイン。明日へのゆとりを感じるロケーション。
  • Homestay in JAPAN!!
  • Internship in Japan
  • 英会話の先生探すサイト。個人家庭教師・外国人と英語プライベートレッスンは先生ナビドットコム。


PR