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親しみやすい人が好き ― 日本人のファン心理

[2010年2月号掲載記事]

 

近年、特に有名ではないがある種の魅力を持つ人たちのファンが増えています。その対象は気象予報士から芸能人までいますが、なぜ日本人は彼らのとりこになるのでしょうか。

財団法人NHKサービスセンターでは、2007年から天気予報のニュースを担当する「気象予報士」たちのカレンダーを売り出しています。最初の年は男性と女性、両方の予報士をのせたカレンダーを作りましたが、次の年からは女性だけにし、2009年からはゆかた(夏用の着物)姿の写真も加えました。2010年版は最初に制作した分が売り切れたため、もっと作ることにしたそうです。

NHKの女性予報士たちは普段着に近い服を着て簡単な言葉で天気の解説をします。その姿が「となりのお姉さんみたいで親しみやすい」と芸能人なみの人気を呼んでいるのです。特に半井小絵さんは夜7時28分に登場するため「7時28分の恋人」と呼ばれるほど人気です。

2009年11月、千葉県佐倉市でイベントがありました。それに参加してライブと握手会を行ったのは、アイドルグループ「桜組」。忍者のイメージの服を着て歌ったり踊ったりするアイドルで、メンバーには日本人と中国人がいます。8月にデビューしたばかりですが、会場には熱心なファンが現れ、話しかけたり握手を求めたりしていました。

「せっかく中国からやって来てがんばっているのだから、ぜひ成功してほしい」。そう話すのは、福島県から新幹線で駆けつけてきた男性です。桜組に参加している中国人の双子、桜蘭丸さんと桜紅丸さんのファンだと言います。「彼女たちはとても記憶力がいいです。私の顔をすぐ覚えてくれました。少しやせたようで心配です」と男性は語ります。

あさみ ちゆきさんはCDアルバムを5枚発売し、テレビにラジオにと活躍する歌手です。また東京の井の頭公園でも定期的にライブをしています。そのあさみさんの周りにも、多くの温かいファンがいます。例えば、まだ有名でなかった頃には、ファンがギターの弾き方を教えてくれました。ホテルマンだったファンからはおじぎなどマナーを習いました。

今でもファンたちはあさみさんの公園ライブを手伝っています。ライブの何時間も前から公園へ行き、シートをしいたり椅子を並べたりして会場を作りますし、駅から会場までの道に立って初めて来る人の案内もします。あさみさんの好きなものや体に良いもの、あさみさんの出身地、山口県の食べ物を差し入れたりもします。

「ちゆきちゃんは娘のような存在」と言う男性は、「2005年3月18日にファンになった」そうです。「改札を出たらいい声が聞こえてきてね。とても自然な歌声で、聴いていると気持ちよくなる」と、初めてあさみさんの歌を聞いたときのことを話すこの男性は、「テレビ局が撮影していると、ちゆきちゃん、緊張するんだよね。そういうときは私まで、『うまく歌って』とはらはらしてしまう」と言います。

「ちゆきちゃんはこんなに有名になったのに、今でも私を『おじちゃん』と呼んでくれる」と話す別の男性は、「ちゆきちゃんがいなかったら、定年後、家に引きこもってしまっていたよ」と語ります。「ファンになってからまた仕事を始めた。そのお金でCDを買ったり、日本全国のライブに行ったりして応援している。ファン仲間も増えたし、生きがいだよ」。

東京都に住む木村純子さんには、好きなミュージカル俳優がいます。「ブランド品や出来合いの物ではなく特別にお店に注文します」と贈物について話します。その役者さんが共演者さんに配れる物、もらった共演者さんが喜ぶ物を考えます。または体に良い食べ物などを差し入れます」。

ファンが役者用の出入り口「楽屋口」の外で待っていて、プレゼントをしたりサインをもらったりする行動もよく見られます。木村さんは楽屋口で役者と話をして差し入れる物を決めることがあるそうです。「役者さんのブログを読んだら『最近、野菜不足だ』と書いてあったので、楽屋口で『野菜いりますか?』と聞いた上で、大きな箱に詰めて送りました」。

「ファンの方は、とにかくよく観察していらっしゃいます」と語るのはダンサーの佐々木信彦さん。帝国劇場という有名な劇場で踊ったり、ミュージカルの振付もする実力者です。「体調が悪くて、楽屋口を通る時マスクをしていたことがあります。そうしたらさっそく新しいマスクが送られてきました。また、ある公演では上半身裸で踊るシーンがよくありました。すると脱いだり着たりしやすい手作りの肩掛けをプレゼントされました」。

文:砂崎 良

「ファンの方の行動には日本人の『察する』という文化を感じます」と佐々木さんは話します。「『自分が何を贈りたいか』より『相手が何を贈られて喜ぶか』を考える文化です。例えば料理ができる楽屋には野菜や肉が届けられてきましたし、料理できない楽屋には刺身が紙皿と調味料つきで送られてきました。忙しそうにしているときに、サインを頼まれることはありません」。

ただし佐々木さんはファンの全員が、役者と親しくつきあっているのではないと言います。「アットホームな関係が好きな役者には、細かく面倒を見てくれるファンがつく気がしますし、一人でいるのが好きな役者には、そういうファンがつく気がします。人間として自然なつきあいを望む役者が以前より増えたのでは? 自分の周りを見ていると、そういう気はします」。

「差し入れをしたり楽屋口で待っていたりするのは『がんばって』という気持ちを伝えたいからでもありますし、少しでも自分のことを覚えてほしい、という思いもあります」と木村さんは言います。「それに最近ではブログを書く役者さんが増えましたから、自分の差し入れのことをブログで取り上げてもらえたりします。それが嬉しいです」。

「手作りの肩掛けが届いたときは、『母親や彼女がめんどうをみてくれているみたいだ』と感動しましたね」とダンサーの佐々木さんは言います。「それにある女の子から、病気のおばあさんへのメッセージを頼まれたこともあります」。親しみやすい芸能人が好き、そして家族であるような気持ちで応援する、というのは日本のファンの傾向かもしれません。


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