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食をテーマに人生を描く

[2014年6月号掲載記事]

201406-8-1

© 雁屋哲・花咲アキラ/小学館
1巻表紙。原作:雁屋哲。作画:花咲アキラ
小学館発行

美味しんぼ

日本に外食産業が定着した1980年代に、食材や調理法にこだわるグルメブームが巻き起こりました。ブームを生み出す原動力の一つになったのが「美味しんぼ」です。1983年にまんが雑誌、「ビッグコミックスピリッツ」で連載が開始され、現在も続いています。単行本の発行部数が1億冊を超えるヒット作で、アニメやテレビドラマが放映され、映画化もされました。

新聞記者である山岡士郎と栗田ゆう子は、創立100周年記念事業として日本の食文化を最高の形で紹介する「究極のメニュー」作りに挑戦することになります。しかしライバル社では「至高のメニュー」を企画したため、「究極」対「至高」の料理対決が始まります。至高のメニューのアドバイザー、海原雄山は士郎の父親です。二人は士郎の母親の死をめぐって長い間対立しています。

雄山は美食家であり、天才的な芸術家でもあります。何事にも妥協を許さない姿勢は、私生活にも及んでいました。息子の味覚に対する鋭い感性を知り、一人前に育てようと料理の基本を徹底的に仕込みます。しかしあまりの厳しさに反発を覚えていた士郎は、母親が心臓病で亡くなったことで感情を爆発させ、雄山の作品を全部壊して家を出てしまいます。

病気の母親を働かせていたことから、母親を死に追いやった男として士郎は雄山に強い憎しみを抱き続けています。母親の旧姓「山岡」を名乗っているのも、関係を断ち切るためでした。父と息子の対立という古典的なテーマが、料理対決と重なりあう構造により、物語に深みを与えています。

両親の結婚が不幸だったという思いは、士郎の人生に影を落としています。仕事のパートナーであるゆう子とひかれあいながら、ふみ込めないでいました。料理対決を通して雄山と戦うことで、士郎はしだいに過去と向き合っていきます。そして、ある女性の結婚を取り持ったのをきっかけに、ゆう子にプロポーズします。

ところがゆう子の妊娠が、またも士郎を思い悩ませます。温かい家庭の記憶を持たず父親に愛されなかった自分は、子どもを愛せないのではと恐れていたからです。そんなとき、つわりで苦しむゆう子に雄山は、かつて士郎の母親のために作った料理を伝えます。雄山の母に対する、さらには自分に対する愛情に気づき、士郎は父親になる覚悟を決めるのです。

作品の中で丁寧に描かれる料理は美しく、慣れ親しんだ食材の奥深さや、さまざまな地方の豊かな食文化が紹介されます。士郎をはじめとする登場人物たちは、食べ物を介して互いにわかり合い、「食べる」は「生きる」に通じることも理解していくのです。

文:服田恵美子


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