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歴史の波に呑まれた女学生の恋の行方

[2014年5月号掲載記事]

201405-8-1

1巻表紙。大和和紀著。講談社発行
講談社漫画文庫より

はいからさんが通る

「はいから」とは、明治時代(1868~1912年)後半に生まれた言葉です。西洋風の服装や生活様式を取り入れている様子や人のことを指します。「はいからさんが通る」の舞台は大正時代(1912~1926年)で、開国から50年以上経ち、西洋風の思想や風俗が一般人の間にも少しずつ広がっていたころです。

主人公の女学生、花村紅緒は軍人の家で育ちます。しかし女性は家庭を守るべきとする世間の考えに反発し、より自由に、はいからに生きたいと考えていました。ある日紅緒は自転車での通学途中に帝国陸軍少尉の伊集院忍に出会います。ハンサムな忍に一瞬ときめきますが忍は紅緒のがさつな振る舞いを好きになれず、紅緒も自分のはいからぶりをばかにする忍に反抗します。ところが後日二人は紅緒の家で再会してしまいます。二人は祖父母の時代から結婚を決められていた仲だったのです。

紅緒は結婚前の行儀見習いのため、伯爵家である忍の家に住み込むことになってしまいます。しかし紅緒には作戦がありました。行儀作法や家事の一切が苦手なことを伊集院家が知れば、忍の相手にふさわしくない、と破談になるだろうと考えたのです。しかし、紅緒の振る舞いはすべてが旧式だった伊集院家には新鮮にうつりました。いい方向に変わっていったことで忍やその家族との距離も縮まっていきます。

そんな中、紅緒は酒に酔って忍の上司とけんかをし、うらみを買ってしまいます。その結果、忍はシベリアの戦地に送られ行方不明になります。登場人物たちの人生は戦争、そして関東大震災という大きな時代の波に呑まれ、思いどおりには進みません。その様子をギャグを交えて描きつつ、ときに読者の涙をさそいながら物語は展開します。

はいからさんが通るは1975~77年まで少女向けまんが誌「週刊少女フレンド(1996年に廃刊)」に連載されていました。コミックスは8巻まで、文庫版では4巻まで発行されています。連載終了後も人気は根強く、アニメや実写版の映画、TVドラマ化もされています。

物語には美形の男性が多く登場し、紅緒が最終的には誰と結ばれるのかということは読者の大きな興味を引きました。思いやりのある忍に加え、歌舞伎の女形をしている幼なじみや紅緒を陰から支える雑誌の編集長、忍の部下で野生的な男性など、40歳前後の女性の間では、いまだに理想の男性として彼らの名前が挙がるほどです。

このまんがの人気を支えたのはそれだけではありません。日本では大正時代以降も女性は長い間結婚して家庭を守ることが求められてきました。ところがはいからさんが通るが発行された1970年代になると女性の社会進出が一気に活発になったのです。自分の生き方は自分で決めるという紅緒の考えは、このような時代の流れの中で多くの少女たちの心をつかみました。

文:市村雅代


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