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女性の徳川将軍をめぐる人間模様を描く

[2014年2月号掲載記事]

201401-8-1

1巻表紙。よしながふみ著。白泉社発行

大奥

大奥は、江戸時代(17~19世紀)に将軍の妻や側室、そして彼女たちの身の回りの世話をする女性たちが生活していた江戸城の一画を指します。ハーレムのようなものを連想する人も多く、将軍の座をめぐる陰謀や嫉妬などをテーマにこれまでも数々のドラマや映画の舞台になってきました。

しかし、2005年に女性マンガ誌「MELODY」で連載を開始した「大奥」はこれまでにない、逆転の発想で物語がスタートしました。将軍は実は女性で、大奥に住んでいたのは多くの男性だった、という設定です。

三代将軍徳川家光のころ、全国に「赤面疱瘡」という伝染病が広まりました。これが男女逆転の発端です。この架空の病は男性のみがかかり、若い男性ほど死亡率が高いものとして描かれています。そのため男性の人口は激減し、女性との比率は1対4になります。物語は病の発生から約80年後。そんな男女比があたりまえになった八代将軍吉宗の時代から始まります。

この時代になると、男女比がほぼ1対1だった時代があったことを知るのはごく一部の老人のみになっています。人口が圧倒的に少ない男性は子孫を残すために大事に扱われ、力仕事を含むほとんどの仕事を女性が担っています。しかし、女子が商家や武家など家を継ぐ際には男性の名前を名乗らなければなりません。吉宗も本来は「お信」という名前ですが、将軍としては男性の名前である「吉宗」を名乗っています。

ある日、吉宗はオランダ商館長と面談しますが、日本に来た一行に女性がいないことを知って驚きます。当時の日本は鎖国をしており、日本人も日本に来た外国人も互いの国の事情がよくわからない状況でした。作中には、実際のオランダ商館長が書いた日記の一部が挿入されています。「この国の女達はとても働き者に見えた」「将軍は少年のような声をしている」。歴史上の事実がフィクション部分にリアリティーを持たせ、将軍が女性だったというのは本当の話なのではないか、とさえ思えてきます。

物語は三代将軍家光の時代にさかのぼり、代々男子が受け継いできた将軍職を女子が担い、また男性の名前を使うようになった背景が明らかになっていきます。謎解きミステリーのような楽しみもありますが、将軍と大奥に住む男性たちとの恋愛模様も大きな見どころです。

この作品は英訳もされています。2009年にはジェンダーの理解に貢献したSF作品などに贈られるアメリカのティプトリー賞を受賞しました。連載は現在も続いており、コミックスは10巻まで発売されています。

文:市村雅代


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