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医療の限界に苦悩する孤独な医師

[2014年1月号掲載記事]

201401-6-1

1巻表紙。手塚治虫著。秋田書店発行

ブラック・ジャック

作者の手塚治虫は40年以上に渡って第一線で活躍し続け、まんがの神様と呼ばれていました。「ブラック・ジャック」は後期における代表作とされ、5,000万部以上が発行されました。1973~1983年まで週刊少年チャンピオンで連載されました。アニメや実写などでメディア化されており、医療まんがという新しいジャンルを開拓しました。

連載は一話完結の形式です。基本的な流れは、通常の医療では治療できない患者がブラック・ジャックの手術を受けるというものです。それを全242話、異なるバリエーションで描きました。ブラック・ジャックは主人公の通称で、本名は間黒男です。幼い頃に不発弾の爆発事故にあい、全身に大けがを負いました。

手術で命は助かりましたが、体中に傷跡が残り、ショックで髪の半分が白くなってしまいます。彼をかばった母は命を落とし、事故当時にマカオへ出張していた父は、黒男を見捨て、愛人との暮らしを選びます。事故の後遺症を克服するため、黒男少年はすべて一人で過酷なリハビリに立ち向かいます。彼を支えたのは、主治医だった本間丈太郎です。

本間医師を父親のように慕う黒男は成長し、医者を志します。優秀な医学生でしたが、莫大な額の報酬を要求する無免許医師になりました。そして、天才的な外科手術の腕で、他の医者に見放された患者の治療や、犯罪がからんだ非合法な依頼を請け負います。

物語が進むにつれ、高額な報酬の理由は患者の本気を試すためだと明かされます。ブラック・ジャックが優先するのは患者を助けることです。事情によっては無償で手術を行います。しかし治療をしても患者が命を落とす場合があります。救えなかった命を前にして、医療の限界と自らの無力さに、ブラック・ジャックは何度も打ちのめされます。

苦悩する彼を支えるのがピノコです。元は双子で生まれるはずでしたが、脳と臓器などしかありませんでした。しかしブラック・ジャックによって人間としての体を与えられたのです。姉の体の中で18年間育ったので自分では18歳と言っていますが、姿は子どものままです。「先生は孤独なのよ」と話すピノコはブラック・ジャックを理解し、見守ります。手術の際には助手として手伝います。

一方で本間医師は「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね」と言い残して亡くなります。誰もが避けられない死に立ち向かうとき、医師は何ができるのか。作品内で明確な結論は出ていません。患者を目の前にして最善を尽くし、ときに絶望しても問いかけを止めない。ゆらぎ続ける一人の男を描くことが、手塚が示した誠実な回答だったのです。

文:服田恵美子


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