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江戸時代から続くうちわ、扇子の製造

[2010年5月号掲載記事]

株式会社伊場仙

うちわは、夏に涼しい風をおこすためだけでなく、料理のときに煙をあおいだり、虫を追い払ったりという目的でも使われます。うちわと違い、折りたためる扇子は持ち歩いてもかさばらず、あおいで風をおこす目的以外でもファッションとして取り入れられました。金色や銀色のものは結婚式などのお祝いの席で、黒いものは葬式用に、あるいは日本舞踊や茶道用など、種類もたくさんあります。

株式会社伊場仙は、およそ400年続く会社です。当初は和紙や竹製品を扱う店でしたが、江戸時代後期には木版画技術を活かしたうちわ浮世絵の製造販売を始めました。「今で言う出版印刷業です。歌川豊国や広重など浮世絵師たちに依頼した下絵に色や柄を加えて作っていました」と取締役社長、吉田誠男さんは話します。

風景や人物を描いたうちわ浮世絵は人気を集め、当時の店名「伊場屋」の名は江戸市中に広まりました。また、元号が江戸から明治に変わるころ、伊場仙では扇子を取り扱うようになります。「扇子もうちわと同じ木版画なので、技術は同じです」と吉田さんは言います。

吉田さんが社長になったのは、今から33年前、28歳のときでした。「伝統を引き継いだなどというプレッシャーはありませんでした。あくまでも商売ですから、より多くのお客様にどのような商品をどう提案していくかを考え続けています」。5年ほど前からはインターネットでの販売を開始しましたが、「お店に足を運んでもらうための窓口です」と言います。

実際、店舗にはホームページに掲載されていない数多くの商品が並んでいます。同社がデザインした商品だけでなく、個人が持ち込んだ写真やイラスト、詩などを印刷したオリジナル扇子も好評です。店を訪れるお客は30代から40代が中心です。外国人観光客も多く、実際の商品を手に取ったり、スタッフのアドバイスを聞いたりして商品を選びます。

直営店だけでなく、百貨店にも出店し、「和」をテーマにしたイベントなどにも積極的に参加しています。「今後はアジア市場にも進出していきます。たとえば中国の上海あたりに出店して、当社自慢のデザイン力で勝負するつもりです」と吉田さんは話します。

株式会社伊場仙


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