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文化財の修復に使われる世界一薄い紙

[2014年1月号掲載記事]

201401-1

手のひらに乗せると、手のしわがはっきりと見えるほど薄い「典具帳紙」という紙があります。新聞の上に重ねても下の記事をはっきりと読むことができます。典具帳紙は現在、世界で最も薄い紙といわれています。その重さは1平方メートル当たり1.8グラム。ちょうど、畳の半分ほどの大きさで1円玉2つ分よりも軽いくらいです。

この紙を開発したのは高知県高岡郡日高村にある「ひだか和紙」(代表取締役:鎮西まり子)という会社です。社名にもなっている和紙は日本に古くからある天然の原料と作り方ですいた紙のことです。同社はもともと手で1枚ずつ紙をすく業者でしたが、ロール状のタイプがほしいという要求に応えて、機械ですくようになりました。

典具帳紙は、17世紀に美濃(現在の岐阜県)ですかれた「薄美濃」という紙が元になったといわれています。明治時代(19~20世紀)の中頃に高知県で盛んに生産されるようになりました。主にタイプライター用紙や包装紙、コーヒーフィルターとして使われ、欧米にたくさん輸出されるようになりました。しかし、当時の典具帳紙は現在ほど薄くはありませんでした。

同社は創業当時(1949年)から薄い紙をすくのが得意です。そこで、その良さをもっと知ってもらうため文化財といわれる古い絵画や文書などの修復に使ってもらうことにしました。傷みのひどい文書は薄い和紙を表と裏から挟んで修復します。典具帳紙は薄くても丈夫であるため、さらに薄くするように求められました。

薄くて丈夫な典具帳紙の評判はたちまち世界中の博物館や美術館、図書館などに知れ渡りました。海外でも、傷んだ文化財や古文書などの修復に使える薄い紙がなくて困っていたからです。同社は紙の提供ばかりでなく、和紙に関する使用方法や事例の説明なども行っています。「現在、典具帳紙はアフリカを除くすべての大陸で使われています」と専務取締役の鎮西寛旨さんは話します。

鎮西さんは「当社では薬品を使わず、天然繊維だけで極薄の紙をすくことができます。修復するものに合わせた色を紙につけることができるのも、よその会社にはできない特徴です。典具帳紙は薄すぎるため、後から色をつけることができません。そこで、原料である繊維の段階から古文書などに合わせた色で染めるのです」と同社の強みを明かします。

「最も苦労するのは、紙の厚さに最適な原料や水の分量、機械を動かす速さなど、満足のいく製品にするための微妙な調整が欠かせないことです」と鎮西さんは話します。「しかし、作り手の都合だけを考えると楽をしてしまう恐れがあります。そうならないように、使う方からの難しい注文を受けることで私たちの技術をさらに磨いていきたいと思います」。

ひだか和紙有限会社

文:伊藤公一


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