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地方を元気にするビジネス

[2014年1月号掲載記事]

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うなぎの寝床

日本は2013年現在で65歳以上の人口が約25%を占める超高齢化社会に突入しています。特に地方では若者が仕事を求めて都市部へ移り住む傾向があります。そのため生産年齢と呼ばれる15~64歳の層が減少しています。その結果経済活動が縮小し、深刻な問題になっています。しかし、ある取り組みから地域が活気を取り戻した例もあります。

白水高広さんは大学の同級生の春口丞悟さんと共に、福岡県八女市で「うなぎの寝床」という店を経営しています。八女市を含む筑後地方で作られる商品を主に扱っています。「筑後地方には絣や仏壇、ちょうちん、弓矢など代々伝わってきた伝統工芸品から、個人の焼き物や木工などの作品まで、物づくりの新旧があるんです」と白水さんは筑後の特徴を語ります。

うなぎの寝床では久留米絣を使った現代風もんぺなどオリジナルの商品も扱っています。もんぺはかつて、多くの女性が作業着として着ていた和風のパンツです。「最初は久留米絣ももんぺも年配の女性向けだと思っていたんです。でも織元に行ったらいろいろな生地や柄があったので考えが変わりました。自分でも着られるかもと思ったのです」。そのことをきっかけに「もんぺ博覧会」を開催。久留米絣の存在、そしてその柄の豊富さを多くの人に知ってもらう機会をつくりました。

博覧会ではもんぺの販売もしましたが、地元には久留米絣の生地を持っている人もたくさんいます。その生地で自分で作りたいという要望に応えて型紙も販売することになりました。昔ながらのもんぺは作業がしやすいようにゆったりと作られていました。オリジナルの型紙は36~38センチ幅の絣の生地を効率的に使うため、細身に仕上げています。その結果、現代風のシルエットができあがりました。その型紙から起こして販売したもんぺは多くの若い人がファッションの一部に取り入れるようになりました。

白水さんは、まず商品を見て知ってもらうことが大事だと考えています。「お店はショールームのつもりで運営しています。大量に売ることが目的ではないんです。手間ひまかけて作った商品を適正な価格で販売する。そうすることでその価値をきちんと評価してほしいんです。きちんと評価されて物が売れれば、その技術も次の世代に残ると思います」。今後はホームページなどで筑後エリアの紹介にも力を入れていきたいと語ります。

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ルバーブ生産組合

新たに特産物を作り出した例もあります。長野県富士見町のルバーブです。ヨーロッパではジャムの材料として知られていますが、日本ではあまりなじみがありません。1992年に千葉県から富士見町へ移住した千代子エンジェルさんは、ルバーブがイギリス人の夫の好物だったため自宅で栽培していました。

シベリア原産のルバーブは富士見町のすずしい気候と相性がよく、株分けで簡単に増えました。また、エンジェルさんのルバーブは赤さが際立っていました。エンジェルさんは高齢化の進む厳しい農家の状況を知っていました。そこで2004年頃から、これを町の特産品にできないかと考えるようになります。試食会を開くなどして知り合いの農家に株分けし、無農薬で育てることをお願いしました。安全なものを食べたいという人の声に応えるためです。

さらに販路の開拓にも乗り出しました。「まずネットで『ルバーブ』『赤い』を検索し、興味のありそうな方にメールを書いたんです」。富士見町の赤いルバーブを使った感想をブログなどに書いてもらうことが狙いでした。利用した人の反応はかなり良く、そのコメントを見た人からさらに注文が来て口コミで出荷量が増えていきました。

3年前からは町がコンサルタントを雇い、東京の百貨店などに販路を拡大しています。今年はそのルートで約3トンのルバーブを販売しました。2006年頃15軒だった栽培農家は、現在74軒にまで増えています。エンジェルさんは言います。「地方だと、行政の問題は都心よりずっと身近です。だからこそ、自分たちが動くことで何か地域を変えられるかもしれないと思えたのです」。

富士見町を赤いルバーブの日本一の産地にするという夢には着実に近づいています。しかし解決できていない問題もあります。出荷量が増えたことで、虫食いがない商品を安定して供給する必要があります。そのため、無農薬での栽培を見直さなくてはならなくなったのです。品質と出荷量のバランスをとるための新たな取り組みが始まります。

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株式会社いろどり

地元にあったものに付加価値をつけて特産品とすることに成功したのが徳島県上勝町です。元々木材やみかんの産地として知られていましたが、1980年代には天候の不順で大打撃を受けました。地元の産業を維持することが難しくなったのです。

当時、上勝町農業協同組合の営農指導員だった横石知二さんは町の新たな産業を探していました。そして1986年の秋、町内の山に生える木の葉を日本料理の飾りとして売り出せないかとひらめいたのです。葉を摘んで包装し、出荷するという作業であれば、力は必要なく高齢者でもできる作業です。こうして葉っぱビジネスはスタートしました。2002年には株式会社いろどりが設立され、横石さんは2009年から社長を務めています。

現在200軒の農家が葉っぱを出荷しています。作業を行っているのはほとんど女性で平均年齢は70歳です。注文や出荷の確認にはオリジナルの通信ネットワークが使われています。高齢者がタブレットやパソコンを操作するのは難しそうですが、横石さんは「必要なことならみんな自然と習得していくものです」と言います。作り手と消費者でそれぞれ何が求められているのかを見極めれば自然と流れはできる、というのが横石さんの考えです。上勝町の取り組みは映画にもなりました。

横石さんは、町の外から若者を呼び込むプロジェクトにも積極的に乗り出しています。町内でインターンを希望する若者に住宅と働く場所を提供し、起業するための講座なども開催しています。現在上勝町の高齢者の人口比率は約50%ですが、35%ほどになるよう若者を増やすのが横石さんの目標です。

徳島市出身の横石さんは仕事をきっかけに上勝町へやってきました。「よそ者の目で、少し引いてこの土地のことを見られたことには大きな意味がありました。また仮説と実践の積み重ねで見えてくるものもありますね」。

近年は、地方での暮らしに興味を持つ若者が増えているのを横石さんは実感しています。「今は地方に追い風が吹いています」と力強く言います。「可能性を秘めた土地はまだまだあるはず。その土地独自の魅力をうまく受け手に伝わるようにアピールしていってほしいです」。

文:市村雅代


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