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見本が生んだ奇跡の糸

[2011年11月号掲載記事]

佐藤繊維株式会社

アメリカ・ワシントンで行われたバラク・オバマ大統領の就任式で、ミシェル夫人のファッションが話題を呼びました。公式行事ではスーツを着用するのが慣例ですが、夫人が身に着けたのはフランスの有名ファッションブランド、「ニナ・リッチ」のカーディガン。そのニットの素材を開発したのが佐藤繊維株式会社です。

佐藤繊維は、当初はニットの下請け事業などをしていました。しかし1990年代には事業がピンチを迎えました。日本の各社が中国に生産拠点を移したためです。佐藤繊維も発注先から何度も値下げの圧力がかかりました。売上高はピーク時の3分の1にまで落ち込みました。130人いた従業員を、1991年には半数近く減らさなければなりませんでした。

社長の佐藤正樹さんは、仕事を取りたい一心で自ら営業に駆け回りました。それでも売れません。そんな中、佐藤繊維が糸を購入していたイタリアの工場から招待を受け、工場を案内されました。オーナーは高級品から特殊なものまで、糸の作り方を見せてくれました。

「一流のデザイナーでも糸は作れない。だから私達の工場こそ、ファションデザイナーを動かしている」。イタリア人オーナーの口ぶりからは誇りが感じられました。「人に言われた物しか作っていない私は自分がみじめに感じました。また、それら特殊な糸はうちと同じ機械で作られていてショックでした」と佐藤さんは話します。

帰国後、佐藤さんは改革を決意します。「僕たちは今までイタリアの製品や技術を真似して受注の仕事をしていたけれど、これからは真似しない。やるならイタリアのものづくりの精神を真似よう、ただ作るのではなく独自の糸を作ろう」。こうして特殊な糸の開発が始まりました。職人たちの考え方を変えるのが一番の苦労でしたが、様々な思索、模索と葛藤の中、独自の糸を開発していきました。次の課題はどう品質を理解してもらうかでした。

佐藤さんは世界的に影響力のある人達に商品価値を認めてもらえば、ブランド価値は一気に高められるはずだと思いました。その思いから、様々な個性ある糸で、海外の展示会に積極的に出展していきました。そんな中、イタリアのピッティ・フィラティという大きな展示会で、個性的な糸を展示していたところ、目を留めたのがニナ・リッチのデザイナーだったのです。

彼らに提供したのは、「モヘヤ糸」と呼ばれるものでした。ミシェル夫人が着たニットは、世界で一番細いモヘヤ系の糸で作られていることが特徴です。モヘヤはアンゴラヤギから取れる希少な天然毛。柔らかく、優しい肌ざわりの素材です。佐藤繊維のモヘヤ糸を見たニナ・リッチの担当者はその糸の細さに驚きの声をあげました。

佐藤繊維が提供する特殊糸は1,500種類以上に上り、シャネルなど世界の有名ブランドからも次々と注文が舞い込むようになりました。世界で認められ、日本でもそのブランド力を高めることができました。純利益も5年前の6倍近い水準まで高まることに成功したのです。

佐藤繊維株式会社

文:高橋義則


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