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[2014年11月号掲載記事]
201411-7
シヤチハタ株式会社
契約書や証明書などの大事な書類を取り交わすとき、海外ではそれに関わった人がサインをするのが一般的です。同じような場面で、日本ではサインよりも印鑑を求められます。印鑑はサインと同様に個人や法人を証明する力をもっています。印鑑は会社用の角印と個人用の丸印とがあり、朱色のインクを付けて書類に押します。個人用には注文して作るものの他、出来合いの「はんこ」もあります。
公的文書で使う印鑑とは別に、スタンプ台や朱肉がなくても押せる商品も使われています。その一つとして、1965年に誕生したシヤチハタ株式会社の「Xスタンパー」というはんこがあります。中でも、1968年に誕生したネーム印は、他社で作られた同様のものも、「シャチハタ」と呼ばれるほどです。
スタンプ台や朱肉のいらないはんこは今ではあたり前のように使われていますが、Xスタンパー開発当初は苦労の連続でした。ゴム印にインクを含ませるという考えはずっと前から温められていました。連続してなつ印するためには、ゴムをスポンジ状にし、そこにインクを染み込ませることが必要でした。
何度も失敗を重ねた結果、開発者がたどりついた方法は塩を使うことでした。まず、ゴムとなる原料と一緒に塩を混ぜ合わせます。そして、お湯の中に一日近く浸しておくと、ゴムの中から塩が溶け出します。塩が溶けた後には無数の細かい穴ができています。この穴がインクを貯め、押す時に最適な量のインクが印面から出るようにしました。
シヤチハタの前身である舟橋商会は、スタンプ台メーカーとして1925年に創業しました。インクを補充せずに連続して使うことのできる「万年スタンプ台」を開発。当時のスタンプ台は、表面からすぐにインクが蒸発していました。そのため、使うたびにインクをスタンプ台に染み込ませる必要がありました。万年スタンプ台はその作業が省けるので大変評判になりました。
「創業者たちは万年スタンプ台のシンボルマークに日本の国旗、日の丸を考えていました。しかし、商標登録上の問題から、日の丸の中にシャチホコを納めたデザインにしました。シャチホコは創業者の出身地、名古屋のシンボルだからです。これを機に、この商品は『鯱旗印の万年スタンプ台』と呼ばれるようになりました」と広報室の丹羽真規子さんはブランドの由来を話します。1941年にはシヤチハタが社名にも使われるようになりました。
Xスタンパーの他にも、ネーム印とペンを1本にしたネームペンなど、同社はデスク周りで使われる独自商品を次々に開発。近年は飲み終えたペットボトルに取り付けて使える鉛筆削り「ケズリキャップ」などユニークな商品を発売するメーカーとしても注目されています。
シヤチハタ株式会社
文:伊藤公一
※正式な会社名は「シヤチハタ」ですが、読み方は「シャチハタ」です。

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