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[2014年11月号掲載記事]
201411-6
ポール・デ・コニンクさん
ポール・デ・コニンクさんは北海道札幌市で母国ベルギーのビール専門店「ポールズ・カフェ」を営んでいます。そのためよく聞かれる質問があります。「一番好きなビールは何ですか?」というものです。ポールさんの答えは「ありません」。「いつ、どこで、誰と飲むかというのがすごく大切なポイントです。それによって選ぶビールは全く違いますから」。
ベルギービールは1,000種類以上あるといわれています。日本人はのど越しを重要視しますが、ベルギービールの魅力、飲み方は銘柄によって大きく異なります。ポールさん自身は「友達と飲むならアルコール度数の低いものをがぶがぶ飲むし、冬疲れているときはパンチがあって一杯で満足できるようなものを選ぶね」と言います。ポールズ・カフェには常時7種類の生ビールと約70種類のびんビールが用意されています。
お店のメニューにはビール以外にも、ワッフルやフリッツ(フライドポテト)、ムール貝などベルギーらしい料理が並びます。その中で一番のおすすめはポールズチキンです。ベルギーから取り寄せたロースターを使って作る鳥の丸焼きです。
ポールさんは1988年に、ベルギーの少年野球チームのコーチとして日本に来ました。翌年再び来日して初めて札幌を訪れ、すっかり気に入ってしまいました。「1年間札幌で遊ぼうと思って勤めていた会社を休職しました。それから25年間、ずっと札幌に住んでいます」。
ポールさんは学生時代、ベルギーのホテル学校で調理やサービス、マネジメントなどホテル業に関する様々なことを勉強していました。14歳からはレストランやケータリングなど飲食関係の仕事に携わります。札幌でもその経験を生かし、レストランやホテルで仕事をしてきました。2000年に独立し、今もお店の看板メニューであるポールズチキンの販売をスタートします。そして2003年にポールズ・カフェをオープンしました。
開店してから常連客は順調に増え、今では本州からもビール好きが訪れるほどです。東京や大阪で出店しないかという話もありますが「僕がいるお店こそがポールズ・カフェ」と、店舗数を増やすことには積極的ではありません。ポールズ・カフェで働いていた人のうち数人は独立し、札幌にはベルギービールの飲めるお店が増えました。
最近日本ではクラフトビール(地ビール)が人気です。札幌でも大規模なイベントが開催されるようになりました。様々な種類のビールを飲む人が増えたことは、店にとっては追い風です。しかしポールさんは、お店の開業以来毎年続けてきた大がかりなベルギービールのイベントを今年で一端中断するつもりです。今後は、食事や文化などを含めもっと複合的に母国のことを知ってもらえるイベントを開催したいと考えています。
ベルギーはヨーロッパのほぼ中央に位置し、首都のブリュッセルは「ヨーロッパの首都」と言われることもあります。過去にはその好立地が災いし何度も戦地となりましたが、その都度各国の兵士たちがそれぞれの文化を残していきました。それらが融合してベルギーは美食の国になったとポールさんは考えています。「『美食の国ベルギー』を紹介するのは私を大事にしてくれた札幌への恩返し」と、毎日笑顔でお客を迎えています。
ポールズ・カフェ
文:市村雅代

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