[2013年9月号掲載記事]
フレデリック・ニューベルグさん
フレデリック・ニューベルグさんは、日本語を勉強し始めてまだ10ヵ月です。2012年10月、23歳のときにノルウェーから来て、横浜国際教育学院という日本語学校に入りました。「日本はノルウェーと全然違うのでおもしろいです」と目を輝かせます。
フレデリックさんが日本に興味を持ったのは、まんががきっかけでした。「ノルウェーの本屋では英訳された日本のまんがが売られています。20歳ごろから読むようになって、日本へ行きたいと思い始めました」。母親は原発事故の影響を心配して止めましたが、フレデリックさんが「もう安全だから」と説明すると納得してくれました。
フレデリックさんは17歳のときから車を修理する仕事をしていたので貯金が250万円ありました。今はアルバイトはしていませんが、その貯金と、独立行政法人日本学生支援機構から支給される月額4万8千円の学習奨励費で生活しています。住んでいるのは学校の寮で、ワンルームマンションです。
「一ヵ月にだいたい12万円くらい必要です」とフレデリックさん。「家賃が約6万円、遊びや食事でも6万円くらい使います。ほとんど外食なので食費が少し高くなってしまいますね」。でも日本人の彼女ができてからは、料理をすることが増えました。「週末は彼女が来ますから、僕はノルウェー料理、彼女は日本料理を作って一緒に食べるんですよ」。
フレデリックさんは横浜に住んでいますが、東京へもよく遊びに行きます。「東京で好きな場所は上野、秋葉原、渋谷です。横浜ではみなとみらいが好きです。好きな場所は他にもたくさんあります」。国内旅行で松本(長野県)や熱川(静岡県)にも行きました。
日本の生活を楽しんでいますが、それでも困ることはあります。「日本料理にシーフードが多いことです。僕はアレルギーで食べられないんです」。また、日本の習慣をよく知らなかった頃は、日本人がラーメンを音をたててすするのを見て驚いたり、温泉でのマナーを破って注意されたり、ということもありました。
わずか10ヵ月で日本語が上手になった秘密は何でしょうか。「学校では1日に4時間授業を受けます。最近は試験対策が中心で、自宅でも1時間くらい勉強します」とフレデリックさん。また、趣味も勉強に役立ちました。「漢字は小説やまんがを読んで覚えました。まんがでは手塚治虫や「あしたのジョー」、小説では村上春樹が大好きです。アニメではジブリ作品、テレビではバラエティー番組が大好きで、よく見ています。文法や敬語、特に「は、が、を、に」など助詞の区別は苦手なので、iPodでいつも聞くようにしました」。
将来はゲームやウェブなどのデザインを勉強したいと話すフレデリックさん。「日本語学校を卒業する前にJLPT(日本語能力試験)のN1が取れたらいいなと思いますが、無理でしょうね」と頭をかきました。
文:砂崎良