■ひらがなタイムズ・アーカイブ
今月のセレクション②
移民は日本の高齢化社会の解決策となるか
日本の人口はまさに激減しているようだ。2008年の日本の出生率は1.2倍とみられる。これは、15歳から49歳までの女性に生まれた子どもの平均数で計られたものである。先進国が人口を維持するために必要な2.1倍より実質的に少ない。そして日本の短かくも目を見張るベビーブームの始まりを告げた1947年の4.5倍には程遠い。
日本で一番大きい経済団体である経団連は、もしこのような傾向が続くなら、50年後には日本の総人口は30%減少し、現在の1億2千800万人から9千万人に減ると警告する。その間に労働人口は46%急落し、およそ4千600万人になるという。それは一人の老人を1.3人の労働者が支えることでもある。
経団連は2008年10月の報告書、「人口減少に対応した経済社会のあり方」の中で、そのような急速な落ち込みは経済成長を減速させ、政府の財政や国民の年金計画を維持するのを難しくさせるばかりでなく、存続可能な社会システムを維持するのにも支障をきたすだろうと警告している。65歳以上の比率がすでに22%を占め、さらに高齢化し続けるなかで、健康ケアと高齢者ケア産業は大量の労働者を必要とするだろう。
これまで労働者不足に対する無数の解決策が提出されてきた。それらは、柳沢伯夫元厚生労働大臣が提案した、もっと子どもを増やすために国は「産む機械」(女性)が必要というものから、自動化あるいは女性や老人の雇用機会拡大で労働不足を補うという議論まであった。
しかし、何れも、経団連ばかりでなく政治家のグループや前東京入国管理局長からも提案された、日本の状況を一変させるかもしれない大規模な移民受け入れ案ほどのものではなかった。
2008年6月、中川秀直元自民党幹事長を中心とする80人の自民党人材交流推進議員連盟が、『日本型移民政策』提案書を福田首相(当時)に提出した。その中で、彼らは日本が国際的な国としてその門戸を世界に開放し、移民を受け入れ日本を再生する「移民受入国」に移行するよう促した。
計画は、2050年までに日本の移民率を人口の10%(1千万)に上げ、外国人留学生の数を2025年までに13万人から100万人に増やすよう奨励している。彼らはさらに、在日外国人問題の管理を統一するため、移民庁を3年以内に設立すること、そして国の基本的な移民方針や政策を明確にする立法を望んでいる。
市民権を与える条件もまたその案の下で影響が出ると思われる。少なくとも永住者と10年間日本に在住している外国人には、日本の市民権を認めるべきであろう。
計画の立案者である前東京入国管理局長で、現在は外国人政策研究所所長の坂中英徳氏にとっては、大量移民の賛成理由は明快だ。外国人の流入は労働力不足を補い、日本を世界経済大国の一員として残すことができ、また、現在の生活水準を維持させる。
同様に経団連は、建設、製造、福祉、運輸、漁業、農業にいたるまでの産業を強化するため、移民を増やすよう政府に要請した。連盟はITなどの分野で高度な技術を持つ外国人の必要性をかなり前から認めていたが、今度は高い技術を持たない労働者へ解放し、移民者が長期間安心して日本へ来られるように、社会インフラの整備を要請している。
日本の準備は?
法務省移民局の最新データによると、登録済みの外国人在住者の数は220万人で、その数は日本の人口の1.7%を占め、その中には韓国籍を持つ約40万人である在日2世、3世が含まれる。
1998年からの10年間で外国人の人口は150万人から着実に増えているにもかかわらず、他の先進国と比べてみるとその割合は低い。つつましい伸びとは明らかに対照的な中川―坂中案では、これからの半世紀、年間40万人の範囲で移民の受け入れを必要とする。つまり、移民が少しずつ来るのではなく、大量に来る必要があるのだ。
坂中氏は、そのような大量の受け入れを実現可能にするには政府が日本と他国との活発な交流に力をいれ、外国人に日本人と同じ権利を保障してよりよい支援をする必要があると確信する。さらに、雇用援助や語学学習を通して初めてやって来る外国人が社会にスムーズに溶け込めることに焦点をあてるべきだと主張する。坂中氏は、提案した移民庁が、移民政策を見直し、差別の監視と予防、社会交流の促進に重大な役割を果たすとみている。
坂中氏の提案以前の挑戦は、すばらしかったといえよう。しかも合意した案がないまま、日本は今日まで比較的少人数の移民の受け入れに成功してきた。坂中氏によると、問題は、日本が外国からの文化と同化してきた歴史があり、異なる価値観や習慣を受け入れる傾向が強いが、熟考された移民政策なしでは、これらの特性を十分に生かせないことだ。
外国人労働者の現状
厚生労働省の外国人雇用状況統計によると、2008年10月末時点で外国人労働者数は48万6,398人。国籍別で見ると、1位は中国人の43%。次いでブラジル人の20.4%、フィリピン人の8.3%。外国人労働者の34%が派遣・請負労働者として働いている。
業種別では製造業が40%、衣料品業界が20%、外食・ホテル産業が10%。都道府県別では、東京都が最多で11万8,488人。次いで2位がトヨタ自動車の本拠地がある愛知県の6万326人。3位に静岡県、4位、神奈川県と続く。
しかし、世界同時不況により、今、製造業の現場で、外国人労働者の解雇が後を絶たない。企業の求人は大幅に減っている一方で、外国人の比率が高い9地域のハローワーク(公的職業紹介所)での新規外国人求職者数は急増している。2008年10~12月は、前年同期比で6倍を超える5,530人となった。
(2009年4月号掲載記事)
題名:「第二の開国をせまられる日本」
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