日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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初代将軍が築いた風光明媚な都―鎌倉

東京から電車に乗り、1時間ほど南下すると古都・鎌倉がある。日本で最初に将軍になった源頼朝が幕府を開き、政治を行った場所だ。それ以後、日本の政治経済の中心となったが、頼朝亡き後、源氏は次第に勢力を失っていく。歴史の栄枯盛衰を見てきた鎌倉は今もなお、昔の風情を残している。

鎌倉駅東口を出て、まず目に入るのは、「小町通り」という商店街だ。幅5〜6mほどの道の両端に、様々な店が軒を連ねている。和菓子屋、喫茶店、雑貨屋、漬物屋、せんべい屋など。それらの店に立ち寄りながら歩いていると楽しくて時間がたつのも忘れる。週末は観光客でごった返している。

小町通りは鶴岡八幡宮へと続く参道と並行している。参道の両端も、鎌倉の特産品や土産物屋などで賑わっている。八幡宮と参道の周辺地域は、歴史的な寺院や、古都の風情豊かな建物などがたくさんあり、見所たっぷりの地域。そこを巡る人力車は、若い人や外国人の観光客に大人気だ。

頼朝は鶴岡八幡宮を中心に、鎌倉の町づくりを行った。鶴岡八幡宮は、源氏の氏神として、源頼朝が再興し、現在の形になったといわれている。境内には鎌倉国宝館や白鷺が住む源氏池があり、平和の象徴、白い鳩が羽ばたく様子も見られる。また、頼朝が愛した流鏑馬や舞楽などの神事は今日まで引き継がれている。

流鏑馬は、武士が疾走する馬に乗りながら、的に弓矢を射るというもの。今でも日本各地で、継承されてきた由緒ある神事。日本古来の衣装に身を包み、射手が掛け声をかけながら矢を射る姿は、武士の猛々しさが蘇る。一目見ようと見物客があふれるほどの盛況さだ。

車窓から夕陽に染まる海
春には桜がトンネルを作る八幡宮の参道を歩いて鎌倉駅へ戻ると、昔ながらの路面電車、江ノ島電鉄、通称江ノ電が発車する。稲村ヶ崎、七里ヶ浜などの湘南海岸を通り、藤沢駅までを結ぶ。その緑色の車体は人々に愛され続けている。晴れた日は相模湾を見渡し、日暮れ時は夕陽が美しい。鎌倉の観光から外せないものだ。

江ノ電の長谷駅で下車し7分ほど真っ直ぐ歩くと、高徳院という寺院へ辿り着く。そう、ここは鎌倉の象徴ともいうべき大仏のある寺院。台座を含め13.31mの大仏の大きさに圧倒される。日本で3番目に大きい大仏だ。すべての悩みを聞き入れ、やさしい表情で人々を見守る。8世紀にわたり、多くの民に安らぎをもたらしてきた。

鎌倉は、多くの文士を育てた土地でもある。ノーベル賞作家の川端康成をはじめ、大佛次郎、芥川龍之介など、数え上げれば切りがない。彼らはここ鎌倉で会合を開いたり、酒を酌み交わしたりしながら創作に励み、日本の文壇を支えていた。大仏近くの川端康成邸は、今も存在している。

鎌倉駅西口を出て、閑静な住宅街を15分ほど歩くと、銭洗弁財天がある。天災や災害にあえぐ鎌倉の庶民を救うために、源頼朝が建てた。いつしか人々は、ここに湧く水でお金を洗うと倍になると信じるようになり、この名前で呼ばれるようになった。洗ったお金は火で乾かす。洞窟があり、ミステリアスな雰囲気が漂う。人気のスポットの一つ。

鎌倉には、古都にふさわしく着物や和小物などの店が多い。木彫りに漆を塗って作られる鎌倉彫は有名。職人技が光る鮮やかで気品高い工芸品だ。趣味で習う人も多く、外国人へのプレゼントにも喜ばれている。一方、古都でありながら、モダンでおしゃれな店もたくさんある。こだわりの菓子やコーヒー、手打ちのそばやうどんも美味しく味わえる。

今から800年以上前、貴族が京都で栄華を誇っていた。高いところからしか世の中を見ていない朝廷に国を任せられないと、関東地方を中心とした武士が立ち上がり、この地に将軍を長とする武士政権を誕生させた。その息吹は今でも感じられる。そして、東京から最も近い本格的観光地として、世界からの観光客でにぎわっている。

協力:鎌倉市観光課・鶴岡八幡宮

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