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| 日本初! がん探知犬 セント シュガー・がん探知犬育成センター 海風が心地よい、千葉県は白浜の海岸。ここに、人間のがんの臭いを嗅ぎ分けるという、信じがたい犬がいる――黒のラブラドール・レトリーバー、マリーン(メス5歳)だ。ごく普通の犬にみえるこのマリーンが、なぜがんを発見することができるのか? 今後の医療に大きな影響を与えるこの犬の能力に今、注目が集まっている。 もともとマリーンは捜索救助犬として訓練されていた。海底に沈んだ死体や森林で白骨化した死体を発見したりと、テレビ番組などマスコミ各社にも取り上げられた。だが、マリーンの才能はそれだけに留まらなかった。 白浜の海岸近くに建つ、セント シュガー・がん探知犬育成センターにマリーンはいる。40頭ほどの訓練犬がいるこのセンターからは元気のいい犬たちの声が聞こえてくる。これらの犬は、がん探知犬などの福祉犬となり、人間社会で活躍するために日々ここで訓練されているのだ。 同センターのヘッド・トレーナー、佐藤悠二さんは、以前、ある病院の院長が「がんには特殊な臭いがある」と言っていたことを思い出し、マリーンの嗅覚が他のラブラドールに比べ並外れて優れていることに着目した。マリーンの嗅覚をもってすれば、人間の身体の中の臭いを嗅ぎ分け、病気を見つけ出せるかもしれない……。 佐藤さんは、マリーンに「がん探知犬」の訓練を始めた。肉や野菜、果物、あらゆる臭い、とりわけ、難易度の高いきゅうりなど臭いの薄いものを中心にマリーンに嗅がせ、同じ量の同じものを海岸の岩の周辺などで探索させた。犬が訓練に集中できる時間は一回に約15分ぐらいだが、休憩を入れ、何回も繰り返した。 そして、佐藤さんはがん患者の呼気から息を採取しマリーンに嗅がせる。じっとお座りしたまま、おとなしく臭いを嗅ぐマリーン。佐藤さんの指示で、5人の呼気が入った別々の箱を一つずつ嗅いでいく。がん患者の呼気はひとつだけだ。 完全密封された採取バッグを外側から嗅ぐだけで、いとも簡単にマリーンはがん患者の呼気を嗅ぎあててしまう。成功率はほぼ100%。現在、40頭ほどいる訓練犬の中でも、マリーンに近い「がん探知犬」幹部候補生は、他にシェルとパールの2頭だけ。同じラブラドールでも生まれ持ったDNAによるのか、向き不向きがあるようだ。 佐藤さんは、かつて犬のブリーダーだった。過去、約1,000頭の犬と接してきた。「犬はみんな最高の相棒と思って接しています。人間と犬の信頼関係が何より大切なんです」。育てる人間がよくないと、いい犬は育たないという。「犬は人間になつき、共存する大事な動物。犬は人間をよく観察していますよ」。 シンプルな訓練を続けているようだが、実はとても大変なことだ。また、「当初は、肝心のがん患者の呼気を収集することもままならなかった」と佐藤さんは振り返る。「30以上の病院に説明して回りましたが、すべて断られました。個人情報は出せないと言われて」。だが、画期的な開発のため、佐藤さんは訓練を続けた。 佐藤さんは、訓練に際しあえてマニュアルを作ることをしない。犬と遊ぶ感覚で、楽しみながら訓練を進めるという。「犬も10頭いたら、10通りの性格があります。行動も毎日変わります。マニュアル通りに犬は動いてくれない。その変化に柔軟に対応しながら人間の発想を変えていく必要がありますね」と、佐藤さんは言う。 現在、臭いのセンサー器具等を開発する株式会社シームスが、佐藤さん率いる同センターと共同でマリーンの嗅覚をセンサー化、乳がんセンサー器具の開発に至った。試験運用に成功すれば、医療の世界に果てしない希望の光をもたらすに違いない。 株式会社シームス セント シュガー |
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