日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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路上で花開く「自己表現文化」

ユキンコアキラ

かつて大流行した原宿の竹の子族、最近ではコスプレ・マニアなど、路上で自己表現する若者たち。平和な日本に花開いた「自己表現文化」といえようか。今、これまでになかったストリート・パフォーマンスで注目されている若者がいる。彼は、路上で音楽にあわせ踊りながら、筆を指揮棒のようにガンガン振りながらキャンバスに絵を描いていく。

彼は原宿をはじめ、さまざまな街の路上で“リズム・ペインティング”を見せる。ヒップホップやトランス系の音楽に合わせ踊りながら、真冬でも汗をびっしょりかきながら絵を描く。その勢いに、路上の老若男女は、つい足を止めて見入ってしまう。彼の名はユキンコアキラ。この風変わりな名前は父親の故郷、新潟のイメージ、雪からつけられた。

雪は、ユキンコに絵を教えてくれた父親の故郷のイメージとともに、彼にとって人間が生まれ来る前、母親の胎内にいた時のような感覚なのだという。彼の描く絵はパワフルだが、どこか不思議さと温かさが漂い、奥深い雪の中に閉じ込められたようなぬくもりを感じる。ユキンコには、「人と人の関係には愛がある」という基本理念がある。

画家である父親に絵の手ほどきを受けて育った彼は、父の期待に応えるべく東京藝術大学を目指すが、6回も入学試験で失敗。7回目にしてやっと入学を果たす。しかし、執念で入学した大学での学生生活は、ユキンコが想像していたものとは違っていた。彼は授業をサボって描いた絵を、ある日路上に出て並べてみた。最初は気まぐれだった。

見る人の数はそれなりに増えキャンバスも大きくなっていった。ユキンコは、見る人には「欲しているもの」があるはず、と感じはじめた。そこで、大好きな音楽を路上に持ち込み、今のスタイルが出来上がった。音楽が流れると、自然と体が動き出す。リズムに乗るうちに、自分でDJをし、踊りながら絵を描く。彼の才能が花開いた。そして、路上パフォーマンスが日常の生活となった。

「絵は描く側ではなく、見る人が評価してくれるもの。押しつけるものではない」。そのことをユキンコアキラは学んだという。苦悩は続いたが、今、プロダクションが彼の才能に注目し、プロモーションが始まった。路上の自己表現文化から、彼のような独自の世界を見つけて表現するアーティストが今後ますます増えていくに違いない。

ユキンコアキラ
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