日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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社会悪と人間の本質を洞察したベストセラー作家

松本 清張

コナン・ドイルやアガサ・クリスティなどの有名な推理小説は今でも人気が高い。日本にも時代を越え読み継がれるベストセラー推理作家がいる。その名は松本清張(1909?1992)。清張の多くの作品が映画化、テレビドラマ化されている。その人気ゆえに、テレビドラマのタイトル名の前には「松本清張の……」という言葉が加えられる。

北九州市生まれ。1950年、朝日新聞社に勤めていたときに「週刊朝日」の懸賞小説に応募した「西郷札」が入選。1953年には「或る『小倉日記』伝」で、日本で最も権威のある文学賞の芥川賞を受賞し、作家活動に専念する。そのとき44歳。作家としては遅いデビューだが、残りの人生を作家活動に専念すると宣言し、作品数は1,000編にものぼる。

日本の推理小説の創始者は江戸川乱歩。乱歩はペンネームで、推理小説の創始者といわれるエドガー・アラン・ポーの名前を日本語読みにしたものだ。清張は、乱歩の後に登場し、一大推理小説ブームを作り出した。1958年に書いた「点と線」を皮切りに、「ゼロの焦点」「砂の器」など大ベストセラーを連発し、日本中を熱狂させた。

未解決の事件にも鋭いメス
清張の推理小説は、これまでの大作家の作風とは異なる。ドリルには「シャーロック・ホームズ」、クリスティには「エルキュール・ポアロ」、乱歩には「明智小五郎」という名探偵がいて、難問を解決するというものが多かった。しかし、彼らが描く主人公、事件、情況は現実にはありそうもなかった。一方、清張の主役はどこにでもいる普通の人物だ。

事件に巻き込まれる主人公がその謎を解いていくと、事件の背後にある不公正で不条理な社会の構造が浮かび上がってくる。そして、その中で愛欲や権力、金に取り付かれてうごめく人間の姿が明らかになる。清張は犯罪を題材にして社会の矛盾や人間の本性を暴く手法を用いた。それゆえに、作品は「社会派推理小説」と呼ばれている。

その後、日本の闇にせまるノンフィクション「日本の黒い霧」シリーズを書いた。1948年、赤痢の予防注射をすると偽り、12名を殺害した帝銀事件をモデルにした「小説帝銀事件」など、実際に起きた未解決の事件を自らの視点で推論した。さらに、日本の歴史を解明する古代史シリーズでも、新しい独自の見解を展開させた。享年82歳。

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