| 日本をもっと知る - 外国人の目/異文化 | |
| 言葉は通じても心は通じない Hiragana Times 20周年に見る 日本の異文化の現場 「言葉は通じなくとも、心は通じる」という表現をよく耳にする。海外旅行など庶民同士の表面的な交流では、その通りのことはよくある。しかし、国際結婚やビジネスなど踏み込んだ話となると、外国人あるいは日本人の気持ちが分からないと嘆く人が多い。 最近は英語を話す日本人が増えた。また、日本語を話す外国人も増えた。コミュニケーションは十分に取れているのに、相手の気持ちが理解できない現象が、今後顕著になってくるだろう。Hiragana Timesは今月号で創刊20周年を迎えたが、この20年間、日本における等身大の国際化の現場を目のあたりにし、さまざまなレポートをしてきた。 最初に異文化対立らしきものが誌面に登場したのは1991年の7月号。「甘ったれるなガイジン!」というものだった。「日本語で話せ!」、「時間に遅れるな!」、「アメリカ人のふりをするな!」、「マジメに結婚しろ!」など、日本人からの苦言を掲載した。 これに対して、「英語を試すために、話しかけてくる日本人には堪えられない」、「時間に遅れてくるというけれど、東京では迷子になるのは簡単だ」、「アメリカ人を異常に尊重する日本人の側にも問題がある」、「外国人との結婚を誰も強要していない」など、外国人からの反論が寄せられた。 1992年の7月号では、「外国人に貸す部屋はない?」という特集を組んだ。これほど文化の違いを象徴している問題はなかった。日本人にとって家は単に宿泊施設ではなく、大切な財産でもある。だから、大家は外国人に貸したがらなかった。汚く使用するかもしれない、家賃を滞納するかもしれない。事件を起こすかもしれないと考えたからだ。 それに対して、単なる宿泊施設ととらえる外国人には人種差別と写った。貸し渋るばかりでなく、敷金を取った上に礼金を取り、さらに日本人の保証人を要求するのは違法だと抗議した。しかし、現在は様変わりした。貸室が過剰となり、外国人専用の部屋を提供する業者は好業績を上げている。後に賃貸問題が経済原則によることを裏付ける結果となった。 同じものを見ても感じ方は異なる 日本人は単に「外国人」の省略との意見が多かったが、外国人からは「ジャパニーズ」が「ジャップ」と呼ばれるようなものだとの反論もあった。この調査をした93年当時は、日本人に欧米尊重、アジア蔑視の傾向があったことはいなめないだろう。その後、中国が台頭し、一方では韓流ブームが日本で起き、今は日本人のアジア人への見方は大きく変わったはずだ。 アンケート調査で一番ショックを受けたのは、終戦50周年目の1995年に行った「広島・長崎への原爆投下はやむをえない行為だったか」という質問に対する答えだ。日本人の81%がNoだったのに対して、外国人読者の50%がYesと答えた。アメリカ人だけだと63%、近隣アジア諸国の81%がYesと答えた。 今も続く日本の政治家の靖国神社参拝問題にも、近隣アジア諸国の人には同様の意識が見られるようだ。1994年、皇室を批判した雑誌社に、ピストルが打ち込まれる事件が起きた。日本では皇室を批判することはタブーだ。この事件をきっかけとしてHiragana Timesは各国のタブー特集を組むことになった。題して、「これを言ったら命が危ない!」。 この取材に対して欧米人は、政府批判や権力者批判をはっきりと口にした。一方、もっとも人権が脅かされている国の人は、タブーを口にしたがらなかった。匿名で写真も出さないという条件を告げても協力的ではなかった。その一人は、こう言った。「掲載されれば、私が言ったことがわかってしまいます。いいですか、私の国からは4人しか日本にいないのです――大使館に二人、学生が一人、それに貿易商の私」。 日本でのカルチャーショックの体験については、これまで何度となく掲載してきた。100号記念では、100カ国100人から、「日本にこれだけは言いたい」という特集を組んだ。日本人については「羊のように群れをなす」、「はっきりとものを言わない」、「外見で人を判断する」など、今日でも共通する一面が指摘された。 ビジネスに関するコメントは「日本人は周りの人と相談しないと回答できない」、「検討するというのはNOの意味」、「無理やり酒を飲まされる」など。その他、「日本人は一日中あいさつばかりしている」、「日本ではタバコを吸いながら街を歩く」、「勝った力士が負けたように暗い顔をする」、「私の隣の席が空いているのに誰も座らない」、「性産業が盛ん」など日本人が気づかないものも多い。 同じものを見ても受け取り方が異なるのは、個人的な側面も当然あるが、その国の文化価値観が大きな影響を与える。みんなが異なった色の眼鏡(文化)を通じて、対象物を見ているといえよう。赤い色の眼鏡をかけて見た人には、青い色の眼鏡をかけた人が見た色は見えない。お互いに、眼鏡を取り替えて見れば違う色があることに気づくはずなのだが……。 |
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