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| 素材をいかす料理が最良の料理 フリージャーナリスト、シャーリー・ブースさん 農林水産省は、海外において日本料理や食材の紹介や普及に貢献した人々を顕彰する、日本食海外普及功労者表彰事業を新たに創設した。その第1回の授賞式が、去る5月31日、ホテルニューオータニ東京で開催された。英国在住のフリージャーナリスト、シャーリー・ブースさんは、3人の授賞者の1人に選ばれた。 「日本料理とイタリア料理は、とてもよく似ています。どちらも新鮮な食材を用い、その素材が持つ味を大切にしているのです。日本料理の場合、自分が今何を食べているのかがはっきりとわかります。魚も茄子も唐辛子も、その原型をとどめています。『最良の料理法は、極力手を加えないこと』と日本人は言います。板前の役割は、その素材のよさを最大限に引き出すことにあるのです。インド料理、フランス料理、中華料理の場合には、必ず何か新しいものを加えようとします――料理に何らかの手を加えるのです。そこが日本料理との大きな違いです。その点、イタリア料理は日本料理とよく似ています。どちらも至ってシンプルなのです」。生き生きと語るシャーリーさん。 「例えば、『ほうれん草の胡麻和え』は、冷凍のほうれん草で作ることはできません。新鮮ないいほうれん草でなければ、あの味は表現できないのです。新鮮さこそが、日本料理の命といっても過言ではないでしょう。そして今、そんな日本料理のよさが、英国で受け入れられつつあるのです」。 シャーリーさんがフィルム・エディターとして日本に初めてやってきたのは、1978年のことだ。「何か、冒険をしてみたかったのです。それがたまたま、『日本へ行く』ということでした。そして、そのことが私の人生に大きな影響をおよぼしたのです」。東京に滞在しながら、彼女は日本の文化や生活についてのドキュメンタリーを制作していた。「もちろん、日々の食事も日本で食べなければいけないわけです。そんななかで、日本料理が私を次の冒険へと駆り立てていったのです。そして、私が初めて賞をいただいたドキュメンタリーの制作へとつながっていきました」。 彼女は、『日本の心』(1987年)という作品で、財団法人日本映画海外普及協会(現財団法人日本映像国際振興協会)主催の第31回日本紹介映画・ビデオコンクールにおいて、審査員特別賞(第一部門)を受賞した。日本の伝統料理が、いかに自然や文化と密接につながっているか、その重要性を説いたこの作品は、世界のさまざまな国で放映された。 やがて、彼女は日本料理の精神性に強く魅かれるようになり、東京の三光院で精進料理を学んだ。また、千葉の大洞院の住職とその奥様、木村瞳さんとの交遊も始まる。シャーリーさんは、週末に彼らを訪れ、瞳さんと精進料理を作り始める。春には野に咲く草を摘み、秋にはいちょうの木から銀杏を採った。瞳さんは、彼女の精進料理に対する才能を高く評価していた。そんな瞳さんの応援もあり、シャーリーさんは欧米人および日本人向けに精進料理の教室を開くようになったのである。 シャーリーさんは、受賞作『Food of Japan』(1999年)の著者でもある。本書を通して、200以上の料理法と共に日本の食の背景、その精神など日本食のさまざまな一面を広く紹介した。また、2004年には、栗原はるみさんの英語の著書である、『Harumi's Japanese Cooking』の編集や解説にも携わった。この本は2005年に『The World Cookbook Awards』の受賞に輝いている。 「日本では、季節感がとても大切にされていると思うのです。春には、料理に桜の花を添え、秋には、料理に松茸を使います。それぞれの旬は短いがゆえに、食材への愛着が深まるといえるでしょう。日本人の食に対する姿勢はとても素敵で、季節感があります。私が英国の人たちに伝えたいのは自分の土地で採れるほうれん草やアスパラガス、にんじんやじゃがいもを使い、季節感を取り入れた『日本料理の心』で(つまり、新鮮な素材の持つ本来の味わいを生かして)料理し、日本料理の本質を知ってもらいたいのです」。 シャーリーさんは今、日本料理の作り方シリーズの各種DVDの制作中で、そのスポンサーを探している。 シャーリー・ブースさんのウェブサイト |
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