日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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世界に広がる日本のスポチャン

国際スポーツチャンバラ協会 
田邊哲人会長

トム・クルーズが主演した「ラスト・サムライ」や、黒澤明監督の「7人の侍」などを通じて、「侍」は、芸者などと共に日本のイメージとして世界に広がっているといえよう。侍は百年以上前に姿を消したが、侍の武術は「スポーツチャンバラ」(通称・スポチャン)という形で、今、世界に急速に広がっている。

「チャンバラ」はもともと子供たちが侍の真似をして、刀のかわりに棒を持ち互いに切りあう遊びだ。今ではすっかり見られなくなったが、60代以上の日本人なら誰もが、子供の頃に野原で遊んだはずだ。チャンバラは日本の子供の共通の遊びだった。そのエッセンスを取り入れたのが、スポチャンだ。

従来からある剣道よりも手軽にできることが売り物だ。競技は「エアーソフト剣」と呼ばれる用具を使って行われる。スポンジでできており、芯は空洞になっていて、そこに空気を入れる。種類は短いもの、長いものとさまざまあるが、1メートルの長さのものが最も多く使われる。試合は3分間1本勝負、または3本勝負。同じ長さの剣で戦う。先に相手を打つと勝ちとなる。

エアーソフト剣の醍醐味は相手を打つと「パチン」という、何ともいえない爽快な音が会場一杯に響くことだろう。しかも、中が空気だから全くといってよいほど痛くない。また、両者が共通の用具を使用するので、公平な試合ができる。顔に防具をつけるが、試合の着衣は自由だ。Tシャツで戦う人もいる。

スポチャンは、現・国際スポーツチャンバラ協会の田邊哲人会長が、1971年に「護身道」、つまり、身を守る武術としてスタートさせた。田邊さんは子供の頃チャバラが好きだった。直接の動機は兄が経営する警備会社の常務だった田邊さんが、社員を剣道で鍛えたことが始まりだ。

しばらくすると、道場近くの子供たちが入門するようになった。それで、田邊さんは子供たちが楽しめるチャンバラを考え出した。そして大会を開くようになり、それが次第に広がり、後に日本選手権大会を開くまでになった。これまで31回開催。年を追うごとに内外で盛んになり、現在、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどで大会が開催されている。

世界の老若男女が安全、公平に戦える魅力
今年の3月で会員は32万人にもなった。18年前より世界選手権大会が毎年開催されている。「日本の剣道、西洋のフェンシングをはじめ、世界にはたくさんの剣術がありますが、同じ剣を持つスポチャンなら、公平に戦えます。さまざまな剣術が互いの技を競えるのです」と田邊さんは、その魅力を語る。

試合にはさまざまなバリエーションが用意されている。1対1で行う「対戦」、1対3などのように同人数でなく戦う「乱戦」、30対30など集団で戦う「合戦」がある。力の差や身体の差がある場合には剣の長さをかえて対戦する。世界チャンピオンを相手にしても、長剣を持った子供3〜4人でかかれば子供たちが勝つこともある。

スポチャン愛好家は、子供から、昔、チャンバラごっこで遊んだ年配者までと幅広く、女性も4割ほどいるという。その人気の秘密は、ダイエットをしながら護身術を学べることにある。そればかりではない。スポチャンの試合では女性であることがハンディとはならず、男性と対等に戦える。障害のある人も参加することができる。

多くの武術は上達するのに修練が必要で、ともすれば苦痛ともなる。それとは対照的に、スポチャンは初めから楽しみながらできるスポーツで、本質は楽しい遊びだ。しかし、スポチャンは武士道精神、騎士道の本質に通じるフェアプレーを尊重する。「元来、スポチャンには審判はいらないと思っています。負けを素直に認め合い、自らを審判することが理想です」と、田邊さん。

スポチャンがこれほどまでに普及したのは田邊さんの情熱と、卓越したアイデア、行動力によるといえよう。創始者であると同時に、エアーソフト剣の開発者でもある。また、インストラクター制度を導入するなど、組織拡大にも熱心だ。2〜3時間の講習を受ければ、支部をつくることのできるインストラクターの資格が取れる。資格者は現在4,560人いる。

「スポチャンは今、たいへんな勢いで広がっています。多くのオリンピック競技の普及度と比べれば、オリンピックの競技にならざるを得ないと思いますね」と田邊さんはスポチャンの将来について、笑いながら答えた。柔道に続いて、日本の武術がオリンピック競技になるのも、あながち夢ではなさそうだ。

国際スポーツチャンバラ協会
TEL:045-664-7198
URL:www.internationalsportschanbara.net/

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