日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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知らぬが仏

ジョセフ・ベンチュラ

英語の間違い探しは、日本にいるガイジンにとって最も手ごろなエンターテイメントだろう。大阪で、「Sperman」(Supermanの間違いと思われるが、これだと「精子男」という意味になる)と書かれたTシャツを着た年配の紳士を電車の中で見ることで、最悪の日々を乗り越えられる――本当だ。奈良の横断歩道のサイン「No Warking」(No Walkingの間違い)は単に標識を誤ったという以上のものがある。それは英語を話す人の、共通の笑いのネタになっている。決して古くはならない内輪の話として、木が腐り、シャツが捨てられるまで続くだろう。

故意ではない、ユーモラスな英語の間違いを集めたウェブサイト、Engrish.comは「Engrish」として知られているが、ファンは、逆の立場から眺めた新しいウェブサイトに興味を抱くだろう。それは日本人の間違いだけがおかしいのではないことを物語っている。hanzismatter.com のファンは、時にはもっとおかしい、消えることのない、ひどい間違いを教えてくれるだろう。

hanzismatter.comを仕切っているのがチャン・タンさん。中国生まれで、13歳のときにアメリカにやってきた。到着した日、すぐに漢字の間違いに気づいたという。間違い漢字の記録を始めようと思ったのは、それからいくつかの夏が過ぎた後のことだった。

hanzismatter.com.の特色はTシャツやスニーカー、広告などに間違い漢字の実例が紹介されていることだが、目玉のコレクションは、ばからしい間違いのタトゥーだ。多くの誤ったタトゥーにタンさんは困惑しているという。「私はいつも首を振るだけです。何で間違ったのか、死体を見つめる死体検査官のような気持ちです」。

タンさんのウェブサイトに掲載された誤りは、漢字の読める中国人や日本人には、実にひどいものだ。しばしば、持ち主はわけのわからないタトゥーであるのに満足している。でたらめに組み合わせられた漢字は、いくぶん予想外の、しかし、当然の報いで、無知の印として残ってしまう、危ない施術だ。

このタトゥーを入れた人は彼の内面の深さを表す四つの漢字を選んだ。彼にとって不運だったのは、これらが一緒になると彼の浅はかさをいっそう際立たせるということだ。「子手術流」を訳すと、「精子を出すなめらかな手の技」となるだろう。誰も知ったことではない。おそらく、それが彼の求めているものなのかもしれない。

時には、自分で書く文字を読めず、発音もできない新米タトゥー・アーティストによって作られることがある。彼女は「愛」が欲しかったのだが、それ以上のものを得てしまった。タトゥーの型を作る会社は、「こちら側が上」というような感覚で、文字の上に横棒を加えることがよくある。アーティストは漢字の一部と思ってしまったのだ。

hanzismatter.comの多くのファンは日本語や中国語の読み書きができる。そして、このサイトに紹介されている、はっきりしないタトゥーについてのディスカッションによく参加する。タンさんがサイトを立ち上げてから、「なぜ?」という質問が何度も上がった。なぜ西洋人は漢字のタトゥーをしたがるのか?

タトゥー・アーティストの一人、デビンさんは、「漢字はタトゥー・パーラーで一番安くできます。ほとんどの場合、彼らは考えなしに、タトゥーを入れる直前に、衝動的に選びます。タトゥーをする人はほとんど、それが何であろうと気にしない。彼らは『かっこよく』なりたいだけなんです」と推測する。

タンさんのサイトのベストセクションのひとつは、有名人の間違いに焦点をあてたものだ。お金があるのに、スポーツヒーローやポップスターは、普通の人よりも調べない。

タンさんに送られてくるタトゥーの80%近くが間違いだ。彼は同じ間違いを何度も見て、同じ「フラッシュ」が使われていると信じるようになった。フラッシュとはお客がタトゥー・パーラーから選ぶデザインパネルのことだ。フラッシュを作る会社が下調べをしなければ、不明瞭な文字が空気感染のように広がっていくと彼は言う。

「タトゥー・パーラーのように責任逃れに署名するように要求するビジネスは他にない」。現在アメリカ国内だけで、タトゥーのお店は4,000以上もある。タトゥー・アーティストが、アジアの言語をあなたより上手に読み書きができるかは疑わしい。

「こんにちは、チャンさん」と、あるビジターがこう書いてきた。「私はこのタトゥーを入れましたが、その意味を知る手がかりがありません。実際、それを入れた記憶もないんです。それで、私に教えてくれるとありがたいんですけど」。

他のビジターは、「わかりません」という中国語を知りたがった。「俺は、そのタトゥーを入れたいんだ。『それはどういう意味?』と聞かれたとき、アホになれるからね」。タンさんの返答は、「そんなばかげたことになぜお金と努力を無駄にするのか?」だ。

アメリカ人作家のマーク・トゥエインはかつてこう指摘した。「正しい言葉とほぼ正しい言葉にはとても大きな違いがある。その違いは稲妻と蛍ほどの違いがある」。肌に永久に入れる墨のことの話であれば、もっと大きな問題だと思うのだが――それはボディーアートと消えない後悔との差ほどある。

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