日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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10日間に三つの宗教を渡り歩く日本人

12 月の下旬から正月にかけて、日本人は三つの宗教にかかわることになる。12月に入るとデパートや商店街にクリスマスツリーが飾られ、日本はキリスト教国家のようにクリスマス・ムード一色に包まれる。そしてクリスマスが近づくと、クリスマスパーティーがいたる所で繰り広げられる。

クリスマスが終わると、一転して正月の準備にとりかかる。そして、12月31日には、除夜の鐘を突きにお寺(仏教)を訪問する。一夜明けた正月になると、いっせいに神社(神道)に初詣に出かける。つまり、クリスマスから10日間の間に、日本人はキリスト教、仏教、神道の三つの宗教を渡り歩くのである。

これだけをみれば日本人は信仰のあつい民族と思う外国人もいるだろう。まして、正月の初詣を見ればそう思うに違いない。明治神宮だけでも、正月の三日間だけで300万人が初詣に出かけるのである。日本全国では8,500万人前後の日本人が参拝するといわれる。これは、メッカをしのぐ、世界最大の巡礼者数に違いない。ところが、多くの日本人にとって、これら一連の行動は宗教心に基づくものではないのだ。

2005年8月に読売新聞が行った調査によると、日本人の4人に3人が、特定の宗教を信じておらず、宗教を大切だと思わない人が多数派を占めている。「何か宗教を信じているか」と聞いたところ、「信じている」23%に対し、「信じていない」は75%。「宗教は大切であると思うか」でも、「大切」35%に対し、「そうは思わない」60%だった。

日本人の宗教観は軽薄だが…
クリスマスも初詣も、日本人にとっては、楽しいお祭り、あるいはイベントといったほうがよいだろう。それを証明するように、あれほどクリスマスイブを祝う日本人が、教会へはほとんど行かない。日本人が初詣に行くのも、神のご利益やご加護にあやかりたいと願う実利からが大半だ。

日本古来の神道は、人間の能力を超えた不思議なものを神として祀り、あがめてきた。それは山であったり、岩であったり、森であったり、動物であったりする。また、歴史上の人物でさえも神として祀り、それらを日常生活の中で今も崇拝している。それゆえに、日本には、数え切れないほどの神々が共存し、「捨てる神あれば、拾う神あり」という格言さえもある。だから、キリスト教も仏教も、これらの神と共存させることに違和感がない。

今では、日本の大多数の挙式は、教会、あるいは、チャペル・ウェディングのスタイルを取り入れたホテルで行われる。しかし、結婚後に教会を訪れるカップルはほとんどいない。「七五三」と呼ばれ子供のためのお祝いの行事や初詣では神社に行く。そして、葬儀や法事はお寺で行う。このように、日本人の多くが教会、神社、お寺を儀式の場ととらえ、使い分けている。

これらの日本人の行動に不謹慎という声もあるが、宗教をめぐる紛争が世界で絶え間なく繰り広げられている現状を見ると、日本人の宗教に対する「軽薄さ」、「無関心さ」が、皮肉にも日本を最も平和な国の一つにしている大きな要因となっているのだ。この観点から言えば、日本人の「軽薄さ」、「無関心さ」は、「寛容さ」、「柔軟性」と置き換えられるべきだろう。

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