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奇想天外な和紙の着衣がブレイク目前

ドイツの見本市で注目の的に!
日本の文化の優れものの一つに和紙がある。和紙はさまざまなところで使用されているが、その象徴は日本家屋で使用されている障子といってよいだろう。障子は木の格子に和紙を貼った引き戸で、部屋と窓、あるいは廊下の間に設置され、ブラインド的な役割を果たしている。柔らかい光を通し、部屋に落ち着いた雰囲気を与えてくれる障子は、和室には欠かせない存在だ。和紙はインテリア性にも優れているが、通気性と保温性にも優れている。障子はあたかも自分自身で呼吸をしているように、部屋に空気を通し、冬には外気を遮断してくれる。

今、この和紙の特性を応用した着衣が内外で話題となっている。毎年ドイツのニュルンベルクで、エコロジー製品が展示される見本市「ビオファ」が開かれる。今年2月に開催されたこの展示会に、日本製品の代表企業としてケイテー・ニットが和紙で作った靴下をはじめ、ショーツ、シャツなどの肌着を出展したが、思いがけないほどの注目を浴びた。

ケイテー・ニットの広報担当の荒井主江さんは「こんなに外国で注目されるとは、思いませんでしたね。和紙がどんな植物から作られるのか、身体にいいのかなど、みんな熱心にきいてきました。この展示会をきっかけに、フランスから1万着の注文があるなど、生産が間に合わない状況が続いています」と、その反響の大きさに戸惑い気味だ。

和紙は綿よりも吸汗性、通気性、保温性に優れているばかりでなく、肌ざわりがよく、夏は涼しく、冬は暖かく感じられ、カサカサの肌には潤いを与える効果もある。主江さんは「アトピーの方には特に喜ばれています。綿でも薬をつけないと着られなかった人も、和紙の肌着なら薬なしで着られました」と、その効果を語る。日本アトピー協会の推薦品に認証されているほどだ。

和紙の着衣のよい点はそればかりではない。その製造過程が環境にやさしいのだ。和紙の原料は桑科のこうぞ、みつまた、がんぴの皮から作られるが、これらは自然に生えて育つ原始林で、その皮を剥ぎ取ることができるのだ。表皮は3ヶ月で自然と復元する。栽培して作る必要もない、そして製品自体が、紙、つまり木からできているため、土に返すことができる。まさに地球の恵みを生かして作られるエコロジー製品といえよう。

1万円札は洗っても破れない
だが、この製品の誕生の裏には、開発者ケイテー・ニット(本社・福井県)の大変な努力があった。もともと編物製品を作っていたケイテー・ニットが、和紙の繊維を作りはじめたのは10年ほど前だ。地元の福井県は「越前和紙」の産地として名高く、地場の業者組合がこの優れた和紙を世界に広めていこうと提唱したのが始まりだった。ケイテー・ニットの荒井孝社長(主江さんの父親)は和紙の繊維ができないかと考え、和紙の糸づくりに挑戦した。

荒井社長は当時をこう振り返る。「和紙を細くして、こよりにしたのですが、どうしてもすぐに切れてしまうのです。何度やってもうまくいかなかったのですが、絶対にできるはずだと信じていました」。開発から5年後に和紙の原料の配合を変えることによって、和紙の繊維はようやく出来上がった。さっそく試作品を作ったが、ガサガサする、痛い、などの声があがり、とても製品化できるようなものではなかった。しかし、荒井社長はあきらめなかった。

糸屋の協力もあり、2年前、ついに和紙の糸を柔らかくする素材が出来上がった。それはふんわりと柔らかく、しかも丈夫なものだった。主江さんはこう言う。「和紙が材料と聞くと、水に溶けてしまうのではと、みなさん思いますが、普通の繊維と変わらない強さがあるのです。試しに和紙でできた1万円札と、そうでないドル札を洗濯機に入れて洗ってみてください。ドル札は破れてしまいますが、1万円札は破れないことがお分かりでしょう。和紙はそれほど強いのです」。

生理用ナプキンで大失敗
ケイテー・ニットが最初に作った製品は、洗濯できる女性の生理用ナプキンだった。巨大な市場に臨んだが、これは大失敗に終わった。肌が弱い、ごく限られた人には重宝されるが、使い捨ての便利さに慣れている女性は反応しなかったのである。次に開発したのが、和紙の抗菌性を生かした靴下。通気性と保温性があり、これは評判もよく「越前和紙靴下」として現在も売れている。しかし、企業としては単価が安く採算の取りにくい商品でもある。

そこで、次に開発したのが、先に述べた洗濯可能な和紙の肌着だ。今、「Como como」のブランドで売られている。さらに今年の7月には主江さんが中心となり、セーター、ワンピース、スカートなどのアウター用品が「ジュベール」のブランドで売り出された。来春には男女両用のポロシャツ「Lono」も販売される。和紙は普通の繊維より紫外線を多くカットでき、また、もともと紙だからどんな色も可能だ。その特性を生かしての開発だった。

今、世界的に日本料理がブームを呼んでいる。その人気の秘密は、おいしさ、美しさもさることながら、ヘルシーで自然の素材が使われていることにある。自然の素材、和紙を使った着衣も、その清潔感、肌触りに加え、自然のままの無漂白で、健康志向の世界の人々に受け入れられようとしている。近い将来、日本料理同様のブームが起きても不思議ではない。

ケイテー・ニット
http://www.knit-kt.co.jp
http://comocomo.jp

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