日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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決まったメニューがない移動レストラン

神奈川県横須賀生まれの日本人シェフで「きまぐれや」のオーナー、吉田友則さんは、特定の料理に絞らず、季節の料理にこだわっている。吉田さんのレストラン「きまぐれや」はユニークだ。「きまぐれなレストラン」、「移動レストラン」、「家庭出張料理」と呼んでいいかもしれない。

「きまぐれや」にはメニューがない。旬のおいしいものを使い、顧客の好みのものを何でも作る。それで、料金も決まっていないのだ。プラン例を参考に吉田さんと顧客との相談で値段を決める。吉田さんは食器類とキッチン用品を準備して、自宅、パーティ・イベント会場、別荘、会社、お店、体育館、会館、キャンプ場など、どこへでも車で出張する。それも、東京だけでなく日本中どこへでもだ。北海道や九州にも出向いたこともある。

きまぐれやの基本的なメニューは野菜が中心だ。これに肉、あるいは魚を添える。日本の野菜の味は繊細なので、素材の味を生かすため蒸す方法をとることが多い。得意として作るのはパスタ。季節や素材に合わせて太さや、オイルを変えている。

彼の料理スタイルのように、彼の体験も変化に富んでいる。高校卒業後、製パン学校に入学したが、夜は鉄板焼屋で働いた。そこで、お客の前で料理を作る楽しさを見つけた。それが、外食産業に入るきっかけとなった。独学で調理師免許を取り、山岳リゾートの八ヶ岳のホテルで働いた。そこでパスタ料理に出会った。

それから、吉田さんはケチャップ味のオムライス、ハンバーグ、シチューなどを出す大人気の西洋料理レストランで働いた。彼は、お店のおすすめ料理を作ったが、「驚いたことに、私が作った料理が評判になったんです。それで自分の料理の腕に自信を持ちましたね」と吉田さん。その後、イタリア料理、フランス料理を出すレストランで働いたのが、良い経験となったという。

イタリアで厚かましい家庭料理修行
その後、尊敬する知人のアドバイスもあり、イタリアへ行くことを決意した。食材、畑、漁港などを調査する一方、家庭料理を試食するためだ。「私は日本語しか話せず、イタリアにコネもありませんでしたが、イタリアの家庭料理に興味津々でした」と吉田さんは思い出す。

ミラノから旅を始めた吉田さんは、気ままに途中下車し、畑、市場、漁港などを歩いて回った。吉田さんは用意していた、「日本からイタリア料理を学びにやってきました。家庭料理を食べさせてください。その代わりにどんな手伝いもします」とイタリア語で書いた派手なダンボール紙を用意し、首にかけた。効果はてきめんに現れ、さまざまな家庭料理を試食することができた。その引き換えに、畑では豆や芋の収穫、トラックへのオリーブの積荷、市場では食品の運搬、魚の分類、貝殻取りなどの手伝いをした。

小さなレストランで働く機会にも恵まれた。そこで、店主からとても貴重なアドバイスをもらった。「君は日本からやって来たけれど、日本にはおいしい食べ物がたくさんある。そこの食材を使って、自分自身の料理を作ったらいいと思う」と言われ、徹底的に研究しようと決意した。

吉田さんは前述のように新しいスタイルの料理とサービスを始めた。お客に向き合い料理をすることにこだわる。お客への自由な提案ができるからだ。「一件毎にパーティのスタイルが違うので、仕込みや準備の段階から、同じパターンはありません。もちろん時間はかかり、毎回、決闘のような気持ちでのぞんでいます。お客様の年齢、体調、好き嫌いなどに対応できるのが、きまぐれやの良いところです」と、吉田さんはあくまでもお客様本位だ。

吉田さんは、1996年に創作スープ部門で農林水産省賞を受賞した。今、吉田さんオリジナルの「トロの秋刀魚のくんせい」パックが人気となり、通販でも売られるようになった。

きまぐれや: www.kimagureya.org/

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