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| ジャミロクワイから絶大な信頼を得た青年 蟹nspired代表取締役 金 貴男さん アメリカから電動キック・ボードを日本に持ち込む 何のバックもない若者が、なぜそんな超大物の信頼を得ることができたのだろうか。金さんは韓国人の両親の間に日本で生まれたが、日本の学校へは一切行かず、日本にあるインターナショナル・スクールへ通い、アメリカのペッパーダイン大学(カリフォルニア州)で学んだ。数年前、あの古賀潤一郎議員が卒業問題でスキャンダルとなった大学だ。 日本に戻り投資会社に就職したが、ベンチャー・マインドに富む金さんは、会社をすぐにやめ、電動キック・ボード「Zappy」に目をつけた。セレブが愛用し、アメリカで人気となっていたからだ。Zappyのメーカーは、これ一本でナスダックに上場したほど売れていたが、日本ではまだ販売されていなかった。 2001年、金さんはアメリカのメーカーを尋ねて、直接交渉に臨んだ。彼は当時をこう振り返る。「機種が2種類ありましたが、Zappy 1は、Zappy 2が出たため、在庫がたくさんある状態だったんです。Zappyがまだ日本で売られていなかったので、Zappy1でも日本では型落ちとはならないと読みました。それで、現金払いでZappy1を100台買うからと、破格の値段で買う交渉をしたのです。日本の会社が現金払いをしないことを知っていた彼らは驚きましたが、結局、希望価格で買うことができました」。 100台を日本に持ち帰ったが、つてを持たない金さんはゼロから、飛び込みセールスを始めて販売網を開発していった。「思いがけなく、Zappyに乗るキムタク(木村拓也)がクリスマスのテレビ生番組で放送されるのを見ました。それで、幸運なことに冬にもかかわらず、すぐに完売したんです」。キムタクは日本の超人気タレント。この上ない宣伝となった。金さんはあわてて、Zappyの日本独占販売権を獲得するために、メーカーに交渉に行った。そして、若者とは思えないしたたかな交渉で、契約に成功した。 独占販売権を獲得した金さんは、日本に戻ると再びセールスを開始した。ある日、海外アーティスト・プロモーターから、来日していたジャミロクワイのジェイ・ケイがこのような乗り物が好きだから、Zappyをプレゼントしたらと提案された。金さんは早速、コンタクトをとり、プレゼントする代わりに「mono(モノ)」マガジンのインタビューに応じてもらうことにした。そして、ジャミロクワイが好きな乗り物としてZappyが雑誌に紹介された。 新幹線に同乗してジェイ・ケイに直接交渉 プロモーター・スタッフが戻ってきたとき、金さんは自分の座席に引き上げた。ところが、ジェイ・ケイの方から金さんの席にやって来た。「興味があるから、後で連絡する」と言われ、金さんは興奮しながら連絡先を交換した。そして、その返事を待った。「まだかまだかと待っていましたが、一ヶ月ほどしてようやく来ました。一週間後にイギリスの自宅へ来て欲しいとのことでしたが、僕は3日後に日本を発ちました」。金さんは意気込んでいた。 ジェイ・ケイはロンドン郊外の大邸宅に住んでいた。そこには、1億円もするフェラーリをはじめ、セレブの生活を感じさせる家財がふんだんに置かれていた。金さんは、そのときをこう説明する。「三通の契約書を用意して行きました。一枚目は、相手に最低これだけはのんで欲しい条件を書いたもの。二枚目はお互いが納得できそうなもの。三枚目は自分に都合のよい条件を最大限盛り込んだものです。最初に三枚目を出したんです。ジェイ・ケイはそれを読むと、意外にも即座にサインしてくれ、こう言ったのです。『君の情熱にほれた。ぜひがんばってくれ』と。うれしかったですよ。これまで僕を認めてくれる人は誰もいなかったんです。ジャミロクワイだからでなく、大人から初めて認められたことが嬉しかったのです。そのとき、僕は彼の期待に応えようと強く決意しましたね」。 こうして、金さんは日本、中国、香港の独占エージェント契約を結ぶことができた。しかし、そうはいっても、日本で売り込むことはそんなに簡単なことではない。大手企業にCM出演の依頼をしてもなかなか決まらなかった。しばらくして、金さんの努力が報われ、着メロ会社のテレビコマーシャルが決まった。1年もしないうちに金さんがビジネスを決めたことに彼は大喜びし、金さんに絶大な信頼を置くようになった。 「僕は日本の学校に行かず、インターナショナル・スクールに行き、アメリカの大学を卒業しました。韓国には住んだこともないんです。自分がどこに所属しているのかはっきりしない感覚がありますね。それで、誤解を招きやすいんです」と独身の金さんは言う。しかし、国際的な環境から生まれた金さんのグローバルなものの見方が、ベンチャー起業家に必要な国際性、発想力、起爆力を彼にもたらしたに違いない。近い将来、金貴男の名が日本中、いや、世界に知られる日がやってくる予感がする。
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