日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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女性をとりこにする美の伝道師

美容家・創作粘土人形作家 高橋 刹子さん

イギリスの一冊の本がきっかけに
高橋刹子さんが人形創作を始めたのは、ちょっとしたきっかけからだった。日本が高度成長で女性がさまざまな分野に進出し始めた頃、高橋さんは毎日子育てにいそしんでいたが、一方では、心のどこかで、自分が癒せる何かを求めていた。そんな時にイギリスで出版されたケイト・グリーナウェイの絵本に出会った。そこには、見ているだけでほのぼのとした気持ちにさせられる、女性や子供のイラストがふんだんに描かれていた。部屋の中の物足りない空間に何かを置きたいと考えていた高橋さんに、突如としてこの絵を立体的にしたいという願望が沸いた。これが作家への道の始まりとなった。

最初はびんを胴体に見立てて紙粘土をかぶせる単純な方法だったが、高橋さんの美的センスは最初から発揮された。「私が美容師だったことがとても幸いしました。メイクやヘアーの技術が役にたったおかげで、人形を作ることに夢中になり、毎日の楽しみの時間でした」と高橋さん。しかし、人形作りは子供が寝てからなので、夜中や、時には明け方まで続いた。

人形作りが80体ほどになったとき、主婦の友社で開かれたある講演会に、高橋さんは無意識のうちに人形をかかえて行った。講演会の帰りに階段を下りて行くと、ざわめくような声がした。好奇心をもった高橋さんが近くにいた人に尋ねると、偶然にも、次の日にがん基金支援の手工芸作家展が開かれ、そうそうたる手工芸作家が出展するという。また、三笠宮妃殿下も来賓するとのことだった。部長を紹介してもらった高橋さんはとっさに、自分の作品を出品させて欲しいと売り込んだ。高橋さんが持っていた作品を見た部長は、その場でOKを出した。

一夜にして創作粘土人形作家に
主婦だった高橋さんは、その日から創作粘土作家となったのである。高橋さんが持ち込んだ80体の人形はわずか半日で完売してしまった。それを知った主婦の友社は、高橋さんの人形の作り方を紹介する「クラシックドール」を出版した。発売されるやいなや、初版3万冊が売り切れ、5回も再版された。その後に行われた三越デパートでの人形作家展では、高橋さんの作品の前は人波が流れないほどの盛況だった。テレビにも出演し、高橋さんの周りが動き出し始めた。

高橋さんの人形に魅せられた女性たちから人形を作りたいという声がたくさん寄せられるようになった。その声に応えるために、創作粘土人形の会「ラ・バンボーラ」(イタリア語で人形の意味)を誕生させた。1980年のことだ。最初は7名からのスタートだったが、生徒は次第に増えていった。現在は500教室ほどに上る。その後、念願だったラ・バンボーラの個展を松屋銀座で開き、創立10周年の第一回には1万8千人、15周年の第二回には3万人の入場者を記録し、大成功を収めた。

女性相手の仕事を通じて人生の表情が顔に出ることを肌で感じていた高橋さんは、さまざまな表情を持つ民族に次第に興味を抱き、ある年にイエメンを訪れた。そこは、トイレさえもない貧しい国だった。しかし、厳しい環境の中で生きる人々のたくましさ、エネルギーに圧倒された高橋さんは、それらを題材にして、かわいらしさ、美しさではない、大地に生きることをテーマにした新たな作風を生み出した。

人形作りから化粧品作りへ
ラ・バンボーラが絶頂を迎えたとき、高橋さんはふと、華やかだが、人形作りで時間を切り売りしている自分の人生が、このままでいいのか自問する日々が続いた。ラ・バンボーラの創作活動を6ヶ月間停止して自分を見つめなおしていた高橋さんは、鏡に映る自分を見たときに愕然とした。海外の灼熱の地などの滞在で肌に受けた極度のダメージを思い知ったのである。そして、すがるような思いでたどり着いたのが、細胞を若がえらせるプラセンタの原液だ。高橋さんは自分自身でテストしながら、肌に優しい化粧品を開発していった。商品のすばらしさから、西武デパートですぐに取り扱ってくれることになった。高橋さんが社長の株式会社コレコは、少しずつ規模を拡大し、今年は10周年を迎えた。

高橋さんは、これまでを振り返り、「美容の経験も、人形作りも、化粧品作りも、すべて女性の美への追及と思っています。私が経験したことすべてが役立っています。一方では、出会いも、別れも、喜びも、苦しみも、物事の怖さも体験してきました」。高橋さんからは、一貫して女性の美を追求する美容家の姿勢、妥協しないものづくりへのこだわり、そして、人生の酸いも甘いも知り尽くした大人の女性の魅力が伝わってくる。

株式会社コレコ
http://www.coreco.co.jp
Tel: 0422-23-2505

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