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富士山は世界遺産に指定されなかったが…

文:佐藤 尚子(日本)

最近は海外旅行をする日本人が増えた。各国にはそれぞれお国自慢というべき見所がある。たとえば、観光地のハワイであれば、ワイキキビーチとフラダンスということになろうか。日本では、長い間、「フジヤマ、芸者」として知られてきた。

しかし、フラダンスも芸者も、今や観光の見世物としてしか見ることができない。かつて世界にはさまざまな文化があり、旅する人に異国情緒を感じさせたが、今や世界のどこに行っても、ハンバーグや寿司が食べられる。世界の人々が同じような服装をし、同じ音楽、同じ情報を共有する時代となった。

昔も今も、観光客を喜ばせる各国の唯一の歴然とした違いはその国の自然だ。芸者はいなくなっても富士山は今も美しい姿を見せている。特に秋から冬にかけての富士山はとても美しい。富士山の美しさは何といっても左右対象となった見事な円錐形だ。そして、周囲に高い山がなく、富士山だけが雪をいだく。それが、また富士山を特別な山としている。ご存知のようにアルプスやヒマラヤなどは高い山々が並んでそびえている。

この美しい富士山が、世界遺産に登録されなかった。富士山にゴミがたくさん落ちていたからと伝えられているが、それだけ多くの人が登山するほど富士山は親しまれているという証でもある。元来、山は遠くで見るもの。富士山の美しさは依然として変らず、日本のシンボルであることに変りはない。むしろ、世界遺産の選考基準を疑ってしまう。

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