日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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サービス精神旺盛なお風呂屋のマジシャン

TAJIMAGIC/タジマジック

「こんなマジックみたことがない!」
東京中野の閑静な住宅街にそびえる煙突。そこには「マジック温泉」とかかれている。入口には「昭和浴場」とあり、中へ入ると、昔なつかしい銭湯の風情だ。今、昭和30年時代を復元した街や食べ物横丁などが人気となっているが、ここはまさに古き良き時代を感じさせるお風呂屋さんだ。お風呂場の壁には、昔から銭湯の定番だった富士山が描かれている。

この銭湯の三代目が「タジマジック」の田島純浩さん。知る人ぞ知る、スーパーイリュージョニストだ。「NewsWeek」で絶賛され、オーストラリアやロシア、韓国、台湾のテレビでも特集を組まれたほどで、その実力は「Mr. マリック」と肩を並べると言っても過言ではない。テレビにもよく出演するのでご存知の読者も少なくないはずだ。

昭和浴場へ行けば、この驚くべきマジックが見られるのだ。それも特別なステージでするわけではなく、入ってくるお客さんに声をかけて、ロビーで紙芝居でもするように、ミニマジックショーが始まる。「信じられない、すごい!」、「こんなマジックみたことがない!」。タジマジックを見た者は驚嘆する。

あなたの心が見抜かれている
たとえば、こんなマジックがある。任意のお客に参加してもらい10円、100円、500円をお客の手のひらに置き、本物かどうかを確認してもらった後、どのお金を消してほしいかを聞く。お客が仮に「100円」と言ったとしよう。タジマジックはお客の手のひらを閉じらせた後、「開いてください」と言う。開くと、100円が消えている。

こんなカードマジックもある。任意のお客に好きなカードを言ってもらう。タジマジックはカードをケースから取り出し、表向きに扇状にしてお客に見せ、お客にそのカードを引いてもらうと、その裏にX印がある。むろん他のカードには印がない。

極めつけは、お客に好きな食べ物を言ってもらう。その答えはすでに携帯ボードに事前に書いてあり、ふたがしてある。お客が「すしのまぐろ」と答えたとしよう。ふたを開けるとその通りのことが書かれているのだ。これは、超能力としか言いようがない。

こんなすごいマジックが次から、次へと出てくる。お客は呆然とするばかりだ。昭和浴場では、タジマジックが番台に座る日はあなたの目の前で、こんなすごいマジックを見せてくれる。しかも、入浴料の400円だけで。

自らお風呂場を洗い、番台に座る
タジマジックの偉大なところは、マジシャンとしての才能に恵まれながら、お風呂屋の三代目としての役割も忘れていないことだ。自らお風呂場を洗い、番台に座り、お客とコミュニケーションを図ることに生き甲斐を感じている。超庶民性とスター性が共存する極めて稀有な存在なのだ。

彼のサービス精神はどこからきているのか。「私は人に喜んでもらうことが好きなんです」と何気なく答える。三歳のときに雑誌「主婦と生活社」の専属モデルとなって以来、ジュニア時代は数々のコマーシャル、ポスター、テレビ、映画などで活躍した経験が、サービス精神のもとになっているのかもしれない。

マジックは、高校二年生の時にMr. マリックの超魔術に刺激されて趣味として始めた。「私は独学で学びました。マジックの協会にも入っていません。だから、ボランティアでも、何でも、私のやりたいことができるんです。老人ホームの慰問にもよく行きます。ホスピスに行ったときのことは忘れません。死期を間近に控えた人たちが、私のマジックを喜んでくれたんです。笑ってくれたんです」と、彼は喜びの表情を浮かべた。余談だが、彼はひらがなタイムズのパーティにもときどき来てくれて、参加者を喜ばせてくれる。

このイリュージョン・マジックを独学でマスターしたというから、並大抵の努力ではないはずだ。「手品の種を2.000以上は買いました。お金にしたら3千万円以上は払ったでしょう。でも、使えるのは、10〜20個のうち、一つです。それも、さらにアイデアを加えないと使えません」と、タジマジックさん。

成功の秘訣を尋ねると、「お客の心理を読むことですね。お客の性格はさまざまです。たとえば、カードを一枚抜いてくださいと言うと、一番上のカードを取る人もいるし、真ん中を引く人もいます。その状況により、ネタは変えます。失敗はしょっちゅうしているのですが、失敗と感じさせないのがコツなんです。この仕事で、自立神経失調になってしまいました」と笑う。

天然井戸水をペットボトルで持ち帰れるサービス
彼の一番の悩みは銭湯のお客が毎年減っていくことだ。日本の銭湯の歴史は長く、江戸時代にはその情景がしばしば、浮世絵の題材となるほど、長い間庶民の社交場の役割を果たしてきた。戦後の高度成長経済が始まると、どの家にもお風呂がある時代となり、銭湯は衰退の一途をたどった。全盛期には東京だけでも2,800件あった銭湯が、今では1,000件しかない。

昭和浴場は、深夜1:30、金曜には3:00まで営業していて、手ぶらで行っても400円でタオルからシャンプー、バスタオルまで貸してくれる。ミネラル豊富な天然井戸水をペットボトルで持ち帰れるサービスもしている。土日、祭日には温泉効果のあるワイン、ラベンダーなど、80種類の薬用風呂が楽しめる。

http://www.tajimagic.com
昭和浴場03-3382-2414(受付は午後3時以降)。

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