日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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日本文化の背景にあるもの- 禅

ジョン・アイナーセン

日本を訪れる外国人の多くはいくつかの日本文化に興味を抱く。相撲、酒、 盆栽、芸者などだ。しかし、禅についてはあまり知られていない。世界的に人気を得ている哲学で、日本文化の心といわ れている。禅は建築、料理、書画、絵画、俳句や他の芸術に独自の文化を創ってきたが、その顕著な例は茶の湯といえよ う。

すべてをあるがままに
禅の心を一言で表現すれば、「すべてをあるがままに」ということになろうか。人生にはさまざまなことが起こる。良いこ とも悪いこともある。禅はあるがままの感情を受入れよと教える。たとえば、胃痛が起きると、もしやガンではと思う。 禅では、あなたが心配しようとしまいと、その結果は変らないという考え方をする。実際、現実はその通りである。

しかし、頭では理解できても心配はやむことがない。禅ではこの矛盾を、悩みたけれ ば悩みなさいという究極の言葉で答える。あい矛盾する二つを解決するには、実際この方法しかない。悩む自分を客観的 に見つめ、自分が置かれている現実を悟るのである。

禅は人間の真理、つまり悟りに導く手段といえる が、悟ったままの状態に留まっていることをよしとしない。どんなに立派な人にも短所や欠点がある。酒を飲みたい、長 生きしたいなど、みんな願望を持っている。禅は悟りの世界から日常の世界に戻り、世俗的な生き方をしなさいと説く。 もがきながら生きることが、人間のありのままの姿であるからだ。

禅はインドで生まれ、中国で育ち、日本で開花 した。禅を宗教と呼べるが、崇拝するものがないから、哲学と呼んだ方がふさわしいかもしれない。今ではインドや中国 ではあまり実践されていないが、日本文化には深く根付いている。多くの老若男女が、日常の生活から離れ、一時の心の 安らぎを求めて、禅寺を訪れている。

禅瞑想―京都 から世界へユニークな発信
京都に住むジョン・アイナーセンさんが最近出版した本「禅と京都」は、京都の禅文化を手軽に一通り案内し てくれる。2カ国語の禅ガイドは禅の歴史、お寺、庭園、言葉、座禅修業のアドバイスなどが、詳しく書かれている。禅が 剣道や茶の湯、俳句などの日本文化にどのようにして融合しているかなどの説明もある。

ジョンさんが禅の魅力に取りつかせたものは何なのか。「禅の美学に魅力を感じたのです。それは今も続いています」と、ジョンさん。「自発性、静寂、沈黙、質素、自然さ、自由、奥深い神秘。多くの人が禅に惹かれます。現 実の世界とのかかわりを見失った西洋的考えにもう一つの考えをもたらしてくれるからです。世界は確かに思いもよらない反応、もくろみ、欲、恐怖に満ちていますが、禅はそれらすべてを絶ち切ってくれます」。

禅は、今あなたの前にあるものに誠実に心を開くことと、おおいに関係があると ジョンさんは信じている。北海道の曹洞宗の禅寺で修業経験をしたが、禅瞑想は京都市が訪問者に提供できる、とてもユ ニークなものと信じている。「市とお寺は、これをより意義のある観光として、もっと発展させることができるはずです (たとえば、瞑想セミナーや若者の安い宿泊所などに活用するなど)。これは意義のある異文化体験になると思います」 と、ジョンさん。

ジョンさんが「禅と京都」について書く動機はなんだったの か? 「ここには多くの仏教文化がありますが、すべての宗派が互いに交じり合い、その違いがなくなる傾向にあります。 それが訪問者を混乱させる結果になっています」と、ジョンさん。「この本は、寺院を選び出して、僧侶、歴史、建築、 芸術などに焦点をあてています」。

「京都はとて も特別な場所だと思います」とジョンさん。「その歴史や文化は哲学や芸術に興味を抱く世界中の人を惹きつけます。一 種の十字路の役目を果たしています。京都は小さく、気さくです。人との出会いも容易です。お寺の境内を単に歩いたり 、友達と庭園を眺めながら縁側で一時を過ごしたりすることは、心に刺激を与えます。そこには大都市が持つスピードも 、混雑も、強制もなく、とても魅力的な環境です」。

「日本の歴史の中で大発展を遂げた一つは、1200年代に禅が京都に根を下 ろしたときです。その後の800年間、日本文化に影響を与えました。私たちの時代の大きな宗教的発展の一つは、20世紀の 後半に禅(及び仏教の他の宗派)が西洋に伝導されたことでしょう。偉大な禅寺は以前に比べて目立たなくなりましたが 、かつての面影の一面が今でも感じられるに違いありません。これらのお寺の美しさを写真からも読者が感じてくれれば と思います」。

「禅と京都」(ユニプラン発行)は丸善や紀伊國屋などの大手本屋で購入できる。

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