日本をより理解するための傑作記事(ひらがなタイムズ誌面より)
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金沢から世界に発信する金箔ワールド

浅野邦子さん

外国人が日本へ来て最も感動する建物の一つは金閣寺に違いない。その荘厳な輝きは見る 人にロマンチシズムをかきたてる。日本にはこの美しいお寺を作り上げた金箔を使う伝統工芸がある。金箔は屏風、容器 、小物にいたるまで、さまざまなものに使用されている。金箔工芸の中心地は石川県の金沢市。金沢は日本を初めて統一 し、黄金の茶室を造ったことでも有名な豊臣秀吉から最も信頼をえていた大名、前田利家公の本拠地で、「北陸の京都」 といわれる古都。

この古都に、金箔をベースにして成長を続ける企業 「箔一」がある。金沢の伝統的金箔工芸品を製造、販売している会社だが、そこで創られる工芸品の美しさには誰もが絶 賛するはずだ。しかも、それらの価格が高くないことに驚くだろう。

箔一を創業したのは、京都生まれの浅野邦子さん。京都で金箔を 扱うお店に勤めていたが、そのお店に出入りしていた金沢の箔屋の6男にみそめられて結婚。金沢に住むことになった浅野 さんは、後に、箔一を創業することになるのだが、そのいきさつをこう語る。「金沢は金箔を全国の99%生産している街 ですが、昔から金箔は材料として販売され、金沢金箔工芸品はなかったんですね。それで、私は金沢箔の工芸品を創ろう と思いました。そうするには、製造から販売まで自社で一貫する必要があったのです」。

1975年に一人でビジ ネスを始めた浅野さん。まずは、日常用品、茶たく、お皿など生活に密着した商品を作った。

自分が欲しいものを創る
だが、古い体質の周囲は、よそ者の浅野さんの金沢発ブランド構想をまともに聞いてくれなかった。浅野さんは自分で創った商品を詰め、大きな荷物を抱えて、日本各地のデパートへ売りこみに行った。商品の魅力を一生懸命に説明したが、どこもすぐには取り扱ってくれなかった。注文を取らない限り、出張費は持ち出しになってしまうので、浅野さんは必死だった。

やがて、その情熱と努力は報われ、取り扱ってくれる店が徐々に増えていった。現 在は金沢に4店舗、東京の青山と岐阜にも店舗があり、100名近い社員をかかえるほどに成長した。東京の青山店では、月2 回「箔貼り教室」を開催している。ガラス製品から、携帯、お気に入りの小物まで、世界に自分だけのオリジナル作品を つくることができる。

箔一は工芸品だけでなく、箔を利用したさまざまな事業を展開し ている。金箔を打ちのばすために使用する紙を舞妓さんが肌のあぶらとり紙として使っているのを知った浅野さんが、改 良して特許を取ったあぶらとり紙も、その一つ。今は、インテリアの一部に金箔を施す分野への進出を積極的にはかり、 すでに、数多くの店鋪の内装などを施工している。

「商売していて、企画したものが売れる、つまりお金と引き替えにお客様が喜んで下さることが、なによりの喜びです」と 浅野さん。社員には企画から販売まで責任を持たせている。「あなた、この製品をこの値段で買いたい?と、社員にはい つも問いかけます」。浅野さんの商売哲学は自分が欲しいものを創ることだ。今後の目標は日本から世界に向けて金箔の 世界を広げていくこと。浅野さんの夢はますます光り輝く。

株式会社 箔一
Tel: 076-240-0891
http://www.hakuichi.co.jp/

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