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「この男には注意した方がいいわ」

記事写真最初の出会いは1998年6月、メルボルンの日豪協会の会合であったが、恋の火花が飛び散るようなものでなかったことを二人は認める。それより以前、ポールさんはMBAの学位を修了していて、その会合にやってきたのは日本語を練習するためだった。ポールさんが思い出せるのは、真奈美さんが「興味を抱かせた」こと、朗らかな微笑みを浮かべていたことぐらいだった。真奈美さんの方は切り詰めた旅行をしていたため、日本レストランでウエイトレスとして働き、お金を貯めようとしていた。ポールさんは色男だが、会合には「交流会」以上のものを期待して来ていると真奈美さんは感じていた。

それにもかかわらず、真奈美さんは彼に電話番号とEメールアドレスを教えた。その翌日、ポールさんは彼女を映画に誘った。真奈美さんは会う前、非常に神経質になっていたことを思い出す。彼女はこれまで外国人と外出したことがなかった。彼女の友達は真奈美さんにこう警告した。「この男には注意した方がいいわ」。

しかし、驚いたことに、ポールさんは誠実な紳士となり、レディファーストで彼女に接した。次のデートでは彼女のためにパスタ・ディナーを作った。このようなことが数週間続いたが、ポールさんはビジネスコンペティションに参加するために東京へ行かなければならなかった。二人は離れてみて、互いに恋しいことに突然気づいた。それでEメールや電話で頻繁に連絡を取り合うようになった。「それが僕らの関係を強化する役割を果たしたのです」とポールさん。

記事写真真奈美さんが故郷である京都の看護師に復帰した後も、二人の遠距離恋愛は続いた。ポールさんのビザが切れるとき、二人は決断のときと感じて結婚することを決意した。正式なプロポーズは必要なかった。「二人の仲は徐々に深くなっていたから」とポールさん。今は、渋谷で金融関係のマネージャーとして働いている。「それは、起こるべくして起きた」。二人の両親も簡単に結婚を認めた。真奈美さんの両親がポールさんに会ったとき、ポールさんが日本語を話し、箸を使い、やさしいのを見て、その場で安心したと真奈美さんは言う。

しかしながら、結婚してからは、ポールさんのやさしい性格が、真奈美さんにとっては幸運でもあり、悩みともなった。ポールさんはよく家事を手伝ってくれる。二人の息子、翔音と圭音の面倒もよくみてくれるが、彼女はいつもポールさんに何をすべきかを言わなければならない。「私が何も言わなければ、おそらくポールはずっとテレビの前で横になっているか、コンピュータでEメールのチェックをしています」と真奈美さん。一方ポールさんは、真奈美さんは家のことを管理することが好きで、自分のやり方にこだわっていると言う。例えば、食器類を洗うとき、真奈美さんはすでに洗ってある食器を最初にどかしてから洗うように、ポールさんに何度も言ってきた。そうしなければその食器も濡れてしまうからだ。それなのに、彼はいつも忘れてしまう。「彼女は言うんですよ。『何度も言ったでしょう』と」。ポールさんは笑いながら語る。

これは国際結婚の幸せな例なのだろうか? 実際は違う。ポールさんと真奈美さんの二人は、国際結婚には時々むずかしいこともあるという。真奈美さんは、ある日病院へ行き、書類に彼女の新しい名前を書いた。医師は彼女を呼ぶと英語で、「あなたは日本人ですか、日本語がわかりますか」と尋ねた。銀行で、彼女の名前、「バトラー様」が呼ばれると、みんなが真奈美さんを見る。近所には近くに外国人が住んでいること、そしてそのカップルに起こった良いこと悪いことすべてを知っているような住人がいる。彼らの多くは年配の人達だ。

二人はこの種のことには慣れたという。しかし、二人の最大の問題がコミュニケーションであることを認めている。「国際結婚の成功の鍵はそれほど複雑なものではない」とポールさん。「他の結婚と同様、コミュニケーションが国際結婚の重要な要因です。多くの国際カップルより僕らはラッキーだと思う。僕にはかなりの日本語能力があり、二人が出会う以前に数年間日本に住んだこともあり、二人が日本語でコミュニケーションできるからです。それでも二人にとって相手のことを聞く忍耐と意欲は必要です」。

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